国際海事機関(IMO)は11日、世界の海運業界を対象とする初のネットゼロ排出規制案を承認した。2027年の施行を見据え、GHG排出の削減を義務付ける「燃料基準」と「カーボンプライシング」の導入が柱となる。
今回の規制案は、ロンドンで開催された第83回海洋環境保護委員会(MEPC83)にて採択。2025年10月に正式採択され、MARPOL条約附属書VIに新設される第5章として発効される予定だ。
大型船舶は、燃料の温室効果ガス強度(GFI)を段階的に削減する義務を負う。これは「Well-to-Wake(採掘から燃焼まで)」の視点で評価され、バイオ燃料やe-メタノール等の導入が加速すると期待される。
設定されたGFIを上回る排出を行う船舶は、1トンあたり最大380ドルの「排出課金」を支払う必要がある。一方、低排出またはゼロエミッションの船舶には報奨金(インセンティブ)が付与される。
カーボンプライシングによって得られる収益は、IMOネットゼロ基金に集約され、以下の用途に充てられる。
IMOは、海運業の脱炭素化を進めつつ、公平で包摂的なエネルギー転換を実現する枠組みづくりを重視している。
海運は世界貿易の9割を支える基幹産業であり、CO2排出量の約3%を占める。IMOの試算によれば、新制度により年間100~380ドル/トンの排出課金が導入されることで、最大130億ドルの財源確保が可能となる。
一方で、2030年時点での排出削減効果は約8%にとどまるとの予測もあり、実効性への懸念も残る。ただし、持続可能な海運への大きな一歩であることに間違いはない。
参照:https://www.imo.org/en/MediaCentre/PressBriefings/pages/IMO-approves-netzero-regulations.aspx