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Holcimがセメント特化で産業規模の炭素回収試験プラットフォーム「CaptureLab」を開設 初号案件にAir LiquideのCryocap FG

2026.06.15 読了 約3分
Holcimがセメント特化で産業規模の炭素回収試験プラットフォーム「CaptureLab」を開設 初号案件にAir LiquideのCryocap FG
出典:<a href="https://www.holcim.com/media/media-releases/first-carbon-capture-test-platform" target="_blank">Holcim</a>

ホルシム(Holcim)は2026年6月10日、フランス・マルトル=トロザンのセメント工場に、産業規模では業界初とする炭素回収技術の試験プラットフォーム「CaptureLab」を開設したと発表した。

初号案件として、エア・リキード(Air Liquide)が同社の炭素回収技術Cryocap FGによるパイロット運転を開始した。

セメント分野では炭素回収が深掘りの排出削減に不可欠とされており、本件は既存の回収技術を実環境で検証・スケールアップする段階への前進と位置づけられる。

排ガス前処理を担うモジュール式パイロット

CaptureLabは2,500m²の規模を持ち、セメント工場から出る実際の排ガス(窒素・酸素・CO2・水・微量不純物)を処理・分析できる。プラグアンドプレイ構成を採り、異なる回収方式をマルトル=トロザン工場に容易に接続できる。

エア・リキードが設置したのは、排ガス向けに開発したCryocap FGである。処理能力は3,000Nm³/hで、最終的なCO2精製の前段として、排ガスからの不純物除去とCO2の予備濃縮を担う。

セメント製造のCO2排出は石灰石の脱炭酸由来が大半を占め、組成が複雑な排ガスの前処理が回収技術の実装における主要なボトルネックとなる。本パイロットはこの前処理工程に焦点を当てる。

パイロットはモジュール式で設計され、初期運用後に他の産業拠点へ移設できる。エア・リキードがポール=ジェローム工場で約10年積み上げたCryocapの運用知見を基盤としており、セメント・石灰分野での次の案件展開を見据えた構成である。

一方で、本件はあくまで前処理工程の実証であり、回収から精製・貯留に至る一貫したコスト構造の検証には及んでいないとの指摘もある。

第三者開放型のプラットフォームという座組

CaptureLabの特徴は、ホルシム自身に加え、製造業・スタートアップ・研究機関が各種の回収技術を持ち込んで実証できるオープンイノベーション型の運用にある。低温処理、化学吸収、物理吸着、膜分離、生物プロセスなど、現行から次世代までの方式を実環境かつ産業規模で検証できる。

検証済みの技術はホルシム自社拠点に導入され、ニアゼロセメントの生産に向けたロードマップに組み込まれる。実稼働するセメント工場に標準化された共通の試験環境を設ける構図であり、ホルシムは回収技術の検証ハブとしての位置取りを進めている。

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編集部の視点

本件はセメント脱炭素における構造転換点というより、既存の炭素回収技術を実環境で検証・スケールアップする段階への着実な前進と評価する。「業界初」とされるのはプラットフォームの座組であり、回収技術そのものの新規性ではない。

セメント回収の実装上の隘路は、組成が複雑な排ガスの前処理にある。Cryocap FGはこの工程に的を絞り、モジュール式設計で拠点間の移設・横展開の摩擦を下げる。価値は飛躍ではなく、この漸進的な実装容易性の改善にある。

より戦略的に注目されるのは、実稼働工場に第三者開放型の共通試験環境を置いた点である。これはホルシムを回収技術の検証ハブに据え、セメント回収の事実上の参照基盤を形成しうる布石となる。ただし、外部参加の厚みと検証済み技術の自社展開の実効性が、この座組が標準化基盤へ育つか、自社のR&D効率化にとどまるかを左右する。

参考:https://www.holcim.com/media/media-releases/first-carbon-capture-test-platform

関連タグ セメント
カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。