日本初「マングローブ」由来のカーボンクレジット創出 伊藤忠と宇検村がJブルークレジット認証を取得

村山 大翔

村山 大翔

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伊藤忠商事は12月22日、鹿児島県奄美大島の宇検村と共同で進める植林プロジェクトにおいて、国内初となるマングローブ由来の「Jブルークレジット」を取得したと発表した。12月19日付でジャパンブルーエコノミー技術研究組合(Japan Blue Economy Association:JBE)から認証を受けたもので、単位面積あたりの炭素吸収効率が高いマングローブを対象としたクレジット創出は日本で初めての事例となる。

同社は2021年より同村の活動を支援しており、今回の認証を機にネイチャーポジティブ(自然再興)と気候変動対策を両立させる日本型ブルーカーボン・モデルの確立を目指す。

今回の認証対象となったのは、宇検村枝手久島に位置する約1,073平方メートルのマングローブ植林地である。認証されたCO2吸収量は0.3t-CO2と規模は限定的だが、国内におけるブルーカーボンの対象がこれまでの藻場や干潟から、より吸収力の高いマングローブへと拡大した意義は大きい。クレジットの保有者は宇検村となり、同村が掲げる「ゼロカーボンシティ」の実現に向けたオフセット手段として活用される予定だ。

本プロジェクトは、単なる環境保全にとどまらず、多主体による産学官連携が組み込まれている点が特徴である。2023年には伊藤忠商事、宇検村、学校法人上智学院、日本航空株式会社(Japan Airlines Co., Ltd.:JAL)の4者で連携協定を締結した。学生や社員が参加する体験型ツアーや環境教育を通じて、地域経済の活性化と次世代の環境リーダー育成を同時に進めている。

マングローブは、海洋生態系が吸収・貯蔵する炭素「ブルーカーボン」の中でも、陸上の森林を上回る炭素貯留能力を持つことで知られている。日本国内では、鹿児島県大島郡瀬戸内町のマングローブ植林プロジェクトも同時に同クレジットの認証を取得しており、奄美地域全体でブルーカーボンの価値化が進む見通しだ。

Jブルークレジットは、国土交通大臣認可法人であるJBEが発行・管理する独自のクレジット制度である。企業は自社で削減しきれない排出量をこのクレジットの購入を通じてオフセットできる。伊藤忠商事は今後、本プロジェクトでの知見を活かし、国内におけるブルーカーボン推進と生物多様性保全への貢献をさらに強化する方針である。

今回の「マングローブ由来」の初認証は、日本のカーボンクレジット市場に二つの重要な変化をもたらす。一つは、クレジットの「質の多様化」だ。これまでの国内ブルーカーボンはアマモ場などの海草・海藻類が主流だったが、マングローブが加わることで、よりストーリー性の強いクレジットを求める企業の需要に応えられるようになる。

二つ目は、地域創生との強力な紐付けである。0.3t-CO2という数字は、グローバルな排出量から見れば極めて微量だが、JALや上智大学を巻き込んだ「関係人口の創出」という付加価値が、クレジットの単価や継続性を支える構造になっている。今後は、こうした小規模ながらも質の高い「ブティック型クレジット」が、日本企業のESG投資における戦略的な選択肢となっていくことが予想される。

参考:https://www.wrm.org.uy/action-alerts/brazil-no-to-the-redd-mejurua-project-in-the-state-of-amazonas