静岡県御殿場市は2026年1月5日、世界遺産・富士山の麓で創出された森林由来のJ-クレジット「富士山J-クレジット」の令和7年度(2025年度)分の販売を開始した。
販売数量は428t-CO2で、販売単価は1トンあたり14,000円に設定されている。同市は独自通貨との連携による地域循環モデルを推進しており、カーボンクレジットを通じた地域経済の活性化と脱炭素の同時実現を狙う。
今回の販売は、法人または個人事業主を対象としており、1者あたりの購入可能量は1トンから200トンまでとなる。販売期間は2月13日まで。申し込みが予定数量を超えた場合は、市による審査を経て購入者が決定される。クレジットの供給元は、一般社団法人中畑愛協会が裾野市内で撫育管理を行う森林から創出された吸収量となっている。
購入企業には、温対法に基づく排出量報告での活用や、製品・サービスのカーボンオフセットによる差別化といったメリットがある。また、40トン以上の購入者には、御殿場産木材「ごてんばっ木」を使用した協力事業所プレートが市長から贈呈される。
御殿場市は、デジタル地域通貨「富士山Gコイン」とカーボンクレジットを組み合わせた「御殿場型循環モデル」を掲げている。これは森林整備によるクレジット創出の利益を地域に還元し、環境保全と経済振興を循環させる取り組みである。市はクレジットの購入を通じて、企業のESG投資や地域貢献の姿勢を可視化する場を提供している。
今回の御殿場市による販売価格「1トンあたり14,000円」は、J-クレジットの市場価格(5,000円程度)と比較して非常に高価格な設定である。しかし、これは「富士山」という地域ブランドと、地元の森林保護に直接寄与するというストーリー性が付加されたプレミアム・クレジットとしての価値を反映したものと言える。
特に注目すべきは、単なる排出枠の売買に留めず、デジタル地域通貨「富士山Gコイン」と連動させている点だ。
これにより、炭素価値が域外へ流出するのを防ぎ、地域内で経済が回る仕組みを構築している。企業にとっては、単なるカーボンオフセットを超えた「地域共創」の証としての価値が大きく、今後、自治体主導のCDRプロジェクトにおける先行モデルとなるだろう。
参考:https://www.city.gotemba.lg.jp/gyousei/g-2/g-2-4/29754.html


