Puro.earthとCCS+が提携 BECCS・DACCS認証を統合し、炭素除去市場の信頼性を強化

村山 大翔

村山 大翔

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フィンランド・ヘルシンキ発、カーボンリムーバル認証プラットフォームのピューロアース(Puro.earth)は10月21日、炭素回収・貯留(CCS)プラス・イニシアティブ(CCS+ Initiative)の手法体系を自社の認証・発行システムに統合したと発表した。バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)および直接空気回収・貯留(DACCS)を対象とする方法論を一元化するもので、CCS/CDR市場のインフラ整備における重要な節目となる。

統合後、炭素除去プロジェクトの供給者は、従来のPuro Standardに加え、CCS+のBECCS・DACCS手法に基づくCO2除去証書(CORC)を、Puro.earthの新認証基盤「MyPuro 2.0」上で発行できるようになる。これにより、重複登録や二重計上を回避しつつ、柔軟で将来の制度対応に適した運用が可能となった。

Puro.earth社長のヤン=ウィレム・ボーデ氏は「今回の統合により、供給者はPuro StandardとCCS+の両手法を単一プラットフォーム上で利用でき、買い手は購入時点でより高い透明性と信頼性を得られる」と述べた。

また、CCS+イニシアティブ共同創設者で会長のパスカル・ジーグワルト氏は「CCS+の使命は、市場の断片化を防ぎ、測定・報告・検証(MRV)の相互運用可能なプロトコルを提供することで、1トンの除去が意味するものを明確にすることだ」と強調した。

統合により、Puro.earthの登録簿は投資適格水準の信頼性を備えた単一ガバナンス体制へと進化し、企業・自治体などの買い手はEUの炭素除去認証枠組み(CRCF)やパリ協定第6条に準拠したクレジット取得を容易に行えるようになる。特に、ボランタリー市場とコンプライアンス市場の両方に対応を求める大規模BECCS開発事業者にとっては、重要な基盤整備といえる。

この動きは、カーボンリムーバル市場が急速に成熟する中、認証の柔軟性と一貫性を両立させたインフラの確立を目指す流れを象徴する。Puro.earthは2021年に米ナスダック傘下に入り、マイクロソフトやShopifyなどの企業が同社のCORCを活用して残余排出の中和を進めている。今回の統合は、こうした民間需要と政策的要請の双方に応える基盤強化策となる。

Puro.earthは今後も、CCS+と連携しながら、耐久性の高い炭素除去(CDR)の信頼性確保と市場拡大を支えるデジタル認証インフラの構築を進める方針である。

参考:https://puro.earth/blog/our-blog/345-puro-earth-integrates-ccs-initiative-carbon-removal-methodologies