米Lithos Carbon 風化促進、ERWで史上最大規模のカーボンクレジットをPuro.earthで発行

村山 大翔

村山 大翔

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米国のクライメートテック企業であるリソス・カーボン(Lithos Carbon)は12月4日、風化促進(ERW)技術による二酸化炭素(CO2)除去として、過去最大規模となる5,160トン分のカーボンクレジットを発行したと発表した。これは、同技術分野における単一の発行量としてこれまでの記録の約7倍に達する規模であり、高品位な炭素除去(CDR)を大規模に社会実装する能力を示す重要なマイルストーンとなる。

従来の7倍規模、高まる供給能力

リソス・カーボンによると、今回発行された5,160トンのCDRクレジットは、レジストリ(登録簿)によって認証されたERW由来のクレジットとして史上最大の数量である。これまでの同分野でのクレジット発行実績と比較して約7倍の規模となり、ERWが試験段階を超えて商業的なスケールアップのフェーズに入ったことを示唆している。

今回のクレジットは、CDRに特化した主要な認証基準であるピューロ・スタンダード(Puro Standard)の下で発行されたCO2除去証書(CORCs)であることが明らかにされている。数千年にわたる隔離の耐久性が科学的に立証された、高品質な除去実績として市場に供給される。

農地への玄武岩散布、土壌改良と脱炭素を両立

今回のプロジェクトは、ノースカロライナ州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、メリーランド州、ミシガン州といった米国内の広範な農家ネットワークと連携して実施された。

ERWは、粉砕した玄武岩などを農地に散布し、岩石が風化する化学反応を通じて大気中のCO2を吸収・鉱物化して固定する技術である。リソス・カーボンは、独自の土壌モデルと機械学習を活用し、CO2除去効率を最大化しつつ、農作物の生育環境を改善するアプローチを採用している。

このプロセスは、単に炭素を除去するだけでなく、以下のような農業および環境面での多角的なメリットをもたらす。

  • 土壌pHの管理改善:酸性化した土壌の中和に寄与する。
  • 栄養素の供給:岩石に含まれるミネラルが土壌を豊かにする。
  • 肥料依存の低減:従来の土壌改良材への依存度を下げ、コスト削減につながる。

農家にとっては、日々の農業経営におけるコスト削減に加え、炭素除去プロジェクトへの参加という新たな収益源を確保できる利点がある。

科学的測定とサプライチェーンの雇用創出

ERWの課題である測定・報告・検証(MRV)について、同社は散布段階から最終的な貯留段階に至るまで、厳格な科学的測定プロトコルを採用している。これにより、発行されるカーボンクレジットが実質的かつ追加的であり、永続的な除去であることを保証している。

また、本プロジェクトを通じて、採石場の運営、散布サービス、科学的モニタリングなど、サプライチェーン全体で多数の雇用が創出された。同社は今後、高品質なCDRへの需要拡大に応える形で事業を拡大し、さらなる地域雇用の創出を見込んでいる。

リソス・カーボンのメアリー・ヤップ(Mary Yap)CEOは、今回の成果について次のように述べた。 「米国の農家と協力し、現地で調達した副産物の岩石を活用することで、大気中から炭素を除去するだけでなく、全米で農業収益が圧迫されているこの時期に、農村地域の経済と土壌の健全性を強化することができる」

また、認証機関であるピューロ・アース(Puro.earth)との連携については、「信頼性の高い炭素除去基準で知られるピューロ・アースを通じて認証を取得することは、当社にとって重要な節目だ。我々の手法の信頼性を証明し、炭素の買い手が期待する高い整合性と基準を提供する助けとなる」と強調した。

参考:https://www.linkedin.com/posts/puro-earth_corcs-lithos-carbonremoval-activity-7402361146185449472-P_p2

参考:https://www.lithoscarbon.com/news