インドネシア環境省とGCCが協定 高品質カーボンクレジット市場を目指し国際連携強化へ

村山 大翔

村山 大翔

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インドネシア共和国環境保護庁(BPLH)は9月24日、国際的なカーボンクレジット認証機関であるグローバル・カーボン・カウンシル(Global Carbon Council、GCC)と**相互承認協定(MRA)**を締結した。協定はパリ協定の枠組みに沿ってインドネシア国内の排出削減プロジェクトを国際ボランタリー市場へ円滑に接続することを目的とし、同国の温室効果ガス削減目標と整合を確保する。

署名はハニフ・ファイソル・ヌロフィク環境大臣兼BPLH長官の立会いの下で行われ、副大臣アリ・スディジャント(気候変動・カーボンプライシング担当)と、GCC創設会長ユセフ・モハメド・アルホール氏が署名者となった。

国内制度と国際基準の「橋渡し」

協定により、インドネシアの温室効果ガス排出削減認証制度(SPEI)とGCCの認証プログラムが相互に承認され、登録プロセスや方法論の整合性が保証される。プロジェクト開発者は、国連クリーン開発メカニズム(CDM)やパリ協定第6.4条の方法論、あるいはGCC独自の方法論を選択できるが、すべて環境省(MoE/EPA)の承認が必要となる。

GCCで登録された案件は、インドネシアの国家気候変動登録システム(SRN-PPI)にも反映され、二重計上を防止する仕組みが導入される。また、GCCで発行される「承認済みカーボンクレジット(Approved Carbon Credits、ACC)」は、手続きに基づきSPEIに移転され、国内外の市場で活用できる。

2030年目標とネットゼロ戦略の加速

インドネシアは2030年までに国内削減で31.89%、国際支援を含めて43.20%の排出削減を掲げ、2060年までにネットゼロを達成する方針を示している。今回のMRAは、2023年に開設された「インドネシア炭素取引所(IDXカーボン)」の国際展開(2025年予定)とも連動し、同国を「高品質カーボン市場」のハブに位置づける狙いがある。

GCCのアルホール会長は「この協定は自発的市場の国際的なベストプラクティスとパリ協定第6.2条に沿った透明な仕組みを提供し、気候行動とカーボンファイナンスを前進させる」と述べ、すでに6件のインドネシア案件と連携を開始していることを明らかにした。

一方、ヌロフィク環境大臣は「MRAによってカーボン市場の信頼性と透明性が高まり、気候資金の流入が加速することを期待している」と語った。

協定は即日発効し、2030年まで有効となる。毎年レビューを実施し、双方の合意により延長が可能だ。

参考:https://www.gord.qa/news/gcc-and-republic-of-indonesia-sign-mra-to-advance-high-integrity-carbon-markets/