インドネシア炭素取引協会(IDCTA)は2025年12月8日から9日にかけて、ジャワ島西部のバンドン工科大学で炭素市場の年次会議「カーボン・デジタル・カンファレンス2025」を開催した。
3回目となる今回は「二酸化炭素回収・貯留(CCS)および自然由来のクレジット」を主テーマに掲げ、事前登録者数は過去最多の405人に達した。
2024年10月に日本とインドネシアが2国間クレジット制度(JCM)の相互承認に署名したことを受け、両国間でのクレジット創出と取引の活性化に向けた議論が本格化している。
インドネシアはJCMパートナー国の中で最多の61事業(2025年11月時点)を抱える最重要拠点である。
12月8日の開会式でIDCTAのリザ・スアルガ会長は、「統一基準の構築や人材育成、ファイナンスなどの重点課題の整備にリーダーシップを発揮したい」と述べ、国際的なパートナーシップを通じた市場進展に強い期待感を示した。世界最大規模のマングローブ林を有する同国は、自然由来クレジットの供給源として世界的な注目を集めている。
翌9日の日本貿易振興機構(JETRO)主催セッションでは、日本企業による農業、森林保全、バイオマスを活用したクレジット創出の事例が紹介された。参加企業からは、地域経済への貢献とクレジット創出を両立させる事業モデルへの関心が示される一方、JCMのさらなる活用への期待が語られた。これは2026年4月から日本国内で排出量取引制度(GX-ETS)の本格運用が開始されることを見据え、海外由来の高品質なクレジット確保が急務となっている背景がある。
一方で、市場の活性化に向けた課題も浮き彫りとなった。
セッション内では、現地におけるガイドラインの未整備や、投資採算性の検証が困難である点が指摘された。日本企業がインドネシアでのプロジェクトを加速させるためには、現地の法的枠組みの透明性向上と、JCMを通じたクレジット発行プロセスの迅速化が今後の焦点となる。
今回の会議で特筆すべきは、日本の「GX-ETS」本格始動を前に、日本企業がインドネシアを単なる支援先ではなく、戦略的な「クレジット供給拠点」と再定義している点だ。特に自然由来クレジット(NbS)への関心は高いが、インドネシア政府はカーボンクレジットの輸出に対して保守的な姿勢を見せる局面もある。
2026年のGX-ETS運用開始に向け、JCMを通じたクレジットの「日本への還流」がどれだけスムーズに行われるか、今後の両国政府による実務的な指針策定がプロジェクトの成否を分けるだろう。
参考:https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/01/84a1e633cd538078.html


