マレーシアのMISC Berhadと川崎汽船(K LINE)の合弁は、ノーザンライツ(Northern Lights)から液化CO2(LCO2)運搬船の長期用船契約を2件目として獲得した。署名は2026年5月29日。
欧州初のオープンアクセス型CCS輸送・貯留インフラの拡張を支える契約である。
2隻目の長期用船契約
対象は新造の12,000立方メートル級LCO2運搬船で、MISCと川崎汽船の既存合弁を通じて共同保有する。
用途は、欧州各地の産業集積地で回収・液化したCO2を、ノルウェー沖合の恒久貯留施設へ海上輸送することにある。船舶はLNG二元燃料推進を採用する見込みとされる。
本件は2026年1月29日に締結された1件目の用船契約に続くもので、MISCと川崎汽船の合弁にとって2隻目の受注となる。
MISCのザヒド・オスマン(Zahid Osman)社長兼グループCEOは、今回の受注がLCO2海上輸送セグメントの長期的な事業性への自社の確信を裏付けるものであり、低炭素移行を支える海上輸送ソリューションの提供体制を強化する一歩だと述べた。
ノーザンライツの輸送・貯留網の拡張
ノーザンライツは、エクイノール(Equinor)、シェル(Shell)、トタルエナジーズ(TotalEnergies)の合弁により、欧州の産業排出源を対象とした越境CO2輸送と恒久的な沖合貯留サービスを提供する。
2025年に操業を開始し、同年に初のCO2圧入を完了した。これまでにオスロ近郊スレメスタの下水処理施設VEASや、ハイデルベルク・マテリアルズ(Heidelberg Materials)のブレヴィークセメント工場から回収されたCO2を受け入れ、貯留している。
第1フェーズの貯留能力は年間約150万トンに設計されている。第2フェーズの拡張では年間500万トン超への引き上げが計画されており、新造運搬船はこの能力拡張を直接的に支える輸送インフラと位置づけられる。
編集部の視点
本件は、欧州CCSが貯留拠点の整備にとどまらず、海上輸送セグメントまで商用実装の段階に入りつつあることを示す事例である。
ただし、ノーザンライツが先行して進めるフリート拡張計画の一環であり、需要の新規発生というより既定路線に沿った輸送能力の積み増しとして評価するのが妥当である。
注目すべきは、日系海運がLCO2輸送という新興セグメントに早期から布石を打っている点にある。回収から貯留に至る一連の事業領域のうち、海上輸送はCCSバリューチェーンの結節点であり、川崎汽船にとって本件は移行関連の海上輸送事業の基盤を構築する参入機会となっている。
