トヨタ自動車東日本株式会社(TMEJ)は、農業由来のカーボンクレジット創出と地域のカーボンニュートラル実現に向けて、フェイガー株式会社と協業を開始した。2025年3月に締結された覚書に基づき、宮城県を中心とする東北地域において、トヨタ生産方式を活用した「カイゼン」のアプローチで農業分野の脱炭素化に取り組む。
TMEJとフェイガーの協業は、単なる環境対応にとどまらず、「仕事を楽にする」ことによる農業現場の持続可能性強化を目的としている。トヨタ生産方式(TPS)の要である「ムダの排除」や「標準作業」の考え方を、農作業に適用することで、農家の作業効率や身体的負担を軽減しながら、カーボンクレジット創出につなげるのが大きな特徴だ。
2年間の協業期間中には、作業姿勢の改善や工程の見直し、収益向上に資する改善活動が予定されており、その成果を脱炭素型農業モデルとして東北地域全体へと広げる計画がある。
フェイガーは、農業分野における脱炭素型クレジットの生成・販売を通じて、「環境価値市場の創出」を掲げている。同社は、農業者と共同で耕作法を改善し、その結果生じる排出削減をカーボンクレジットとして精緻に算定。企業に向けて「質の高いカーボンクレジット」を提供している。
今回の東北協業では、農業由来クレジットの創出と併せて、農産品の地産地消の推進も視野に入れており、地域循環型の脱炭素経済構築に向けた実証的取り組みとなる。
TMEJは、脱炭素社会実現に貢献するだけでなく、「東北に根を張り、未来をともに創る」ことを掲げ、地域雇用や社会貢献にも力を入れている。同社は、環境に優しいクルマの生産と並行して、地域の持続可能性そのものを支える社会的インフラ企業としての役割を強めつつある。
参照:https://www.toyota-ej.co.jp/news/detail.php?id=aj-fprad3ub5