NTTグループが広島県安芸太田町と提携 森林由来「J-クレジット」8,000トン創出へ

村山 大翔

村山 大翔

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NTTビジネスソリューションズと地域創生Coデザイン研究所は12月17日、広島県安芸太田町筒賀財産区と森林由来のJ-クレジット創出に向けた協定を締結した。2,348ヘクタールの森林を対象に、2026年度から2033年度までの期間で累計8,000トンのCO2吸収量をカーボンクレジット化をする計画で、本事業を通じて、人口減少に直面する地域の森林整備と脱炭素社会の実現を同時に目指す。

本協定は、林業の担い手不足や管理放棄が課題となっている地方の森林資源を、J-クレジット制度を活用して収益化する取り組みだ。創出されたカーボンクレジットの販売収益は、森林整備や地域振興へ再投資される仕組みとなっている。NTTビジネスソリューションズがカーボンクレジットの販売と管理を担当し、地域創生Coデザイン研究所が手続きや費用負担を含むプロジェクト管理を担う。

今回のプロジェクトは、NTTグループが展開するGXソリューションブランド「NTT G×Inno」の一環として実施される。森林が持つ水源涵養や防災といった多面的な機能を維持しながら、カーボン・オフセットを求める都市部企業との連携を強化する。これにより、都市から地方への資金還流を促進し、関係人口の増加を狙う。

協定期間は2025年12月1日から2035年3月31日までを予定している。今後は森林由来以外のカーボンクレジット創出も視野に入れ、地域発の脱炭素モデルを全国へ展開する方針だ。2026年度からのカーボンクレジット認証および販売開始に向け、具体的な手続きが進められる。

今回のNTTグループによる参入は、日本のJ-クレジット市場における「供給側の小規模分散」という課題に対する一つの回答といえる。2,300ヘクタールを超える大規模な森林を対象とし、通信インフラで培ったネットワークと営業力を持つNTTが販売を担うことで、これまで流動性の低かった国内森林クレジットの信頼性と調達の容易性が高まるだろう。

今後は、同社が「森林以外」にどのようなカーボンクレジット領域を広げていくかが、国内市場の拡大を占う鍵となる。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000085099.html