環境省は2026年2月13日、「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業」における設備補助事業の令和7年度(2025年度)から令和9年度(2027年度)に向けた第6回採択案件を公表した。
今回新たにラオスでの大規模太陽光発電および蓄電池導入プロジェクトが選定され、JCM全体の累計採択案件数はパートナー国20カ国で合計276件に達した。本事業を通じて、日本政府が掲げる「2040年度までに累積2億t-CO2」という国際的な排出削減目標の達成に向けた動きが加速している。
ラオスでの電力安定化と年間3万トンの削減
今回採択されたのは、シャープエネルギーソリューションを代表事業者とする、ラオス(でのプロジェクトだ。
同プロジェクトでは、66.8MWの太陽光発電所と15MWhの蓄電池システムを地上設置する。発電した電力は全量をラオス電力公社(EDL)へ売電し、化石燃料由来の系統電力を再生可能エネルギーに代替する。特に、日中に蓄電した電力を夕方以降のピーク時に放電することで、現地の電力供給の安定化にも寄与する計画だ。想定される温室効果ガス(GHG)排出削減量は年間で29,812t-CO2を見込んでいる。
JCMの進捗、31カ国との連携と高まる重要性
JCMは、優れた脱炭素技術を活用してグローバルサウス等のパートナー国で排出削減を行い、得られた削減量をパリ協定に基づき日本とパートナー国で分け合う仕組みである。
2026年2月13日時点の集計によると、JCMの状況は以下の通りとなっている。
- パートナー国数:31カ国
- 採択案件数:276件(うち20カ国で実施)
- 主な内訳:設備補助254件、F-gas(フロン回収)4件、ADB連携11件、UNIDO連携3件など
日本政府は、2025年2月に閣議決定した最新の「地球温暖化対策計画」において、官民連携で2030年度までに累積1億t-CO2、2040年度までに累積2億t-CO2程度の削減・吸収量の確保を目標として掲げている。
地域別の展開と多様な技術導入
プロジェクトの一覧によれば、これまでにベトナムで48件、タイで55件、インドネシアで58件と、東南アジアを中心に多数の案件が進行している。導入技術も、太陽光発電や蓄電池にとどまらず、高効率ボイラー、廃棄物発電、地熱発電、REDD+など多岐にわたる。
今回の第6回採択分を含め、令和7年度以降の事業ではジョージアでの太陽光(43MW)、フィリピンでの地熱発電能力改善、タイでのデータセンター向け太陽光(55MW)など、大規模かつ産業構造に直結するプロジェクトが目立つ。
今回のラオスの事例に見られる「太陽光+蓄電池」のセット導入は、途上国の脆弱なグリッド(送電網)を安定させる「質の高いインフラ」として今後さらに需要が高まるだろう。JCMは単なる環境支援ではなく、日本企業の先端技術をクレジット創出という付加価値と共に輸出する強力なビジネスモデルへと進化している。
中小企業にとっても、特定技術を強みに大手商社やメーカーと組むことで、カーボンクレジット市場への参画機会が広がっている。
