日野市、CO2固定コンクリートを公共車道に全国初適用 NEDOプロジェクト発の炭素除去技術が社会実装段階へ

村山 大翔

村山 大翔

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東京都日野市は2026年2月、CO2を吸収・固定する性能を持つ「カーボンプールコンクリート(CPコンクリート)」を市内の公共インフラへ施工した。車道への適用は全国初となり、土木・建築分野における炭素除去(CDR の社会実装事例として注目を集めている。

CPコンクリートは、民間企業・大学など15者で構成する「CPコンクリートコンソーシアム」がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合機構)の事業を通じて開発した土木材料である。CO2を材料内部に吸収・固定する炭素隔離機能を持ちながら、従来のコンクリートと同等以上の耐久性を確保している点が特徴だ。

土木・建築分野はこれまで排出セクターとみなされてきたが、CPコンクリートは炭素回収・利用(CCU)の概念を建設材料に組み込むことで、そのパラダイムを転換しうる技術として位置づけられる。

3カ所に全国初・全国2例目の事例が集積

今回の施工は以下の3箇所で実施された。

豊田駅南口バス停舗装(35平方メートル)
PRC舗装版を車道に適用。公共の車道へのCPコンクリート施工は全国初。CO2固定量は0.1トン

西平山あそびばベンチ(5基)
公共構造物へのCPコンクリート適用として全国初。CO2固定量は0.9トン

西平山あそびば園路・駐車場・エントランス舗装(237平方メートル)
公共の歩道としては全国2例目。CO2固定量は1.6トン

3箇所を合計した今回のCO2固定量は2.6トンとなる。

「全国初」が示す社会実装の加速

日野市は「カーボンニュートラルシティHINO」を市の目標として掲げており、CPコンクリートの普及をカーボンニュートラル実現に向けた具体的手段と位置づけている。

耐久性の観点でもCPコンクリートはアスファルト舗装と比較して構造物の寿命が約5倍に延伸されることが見込まれており、ライフサイクルコストの低減という経済的合理性も兼ね備えている。更新頻度の低下はそれ自体がライフサイクルGHG排出量の削減にも寄与する。

カーボンクレジット化への可能性と測定・報告・検証(MRV)の課題

CPコンクリートが固定するCO2は、設置後も建材内部に長期間保持される。この固定量を将来的にカーボンクレジットとして認定・流通させるには、測定・報告・検証(MRV)の体制整備が不可欠だ。今回の施工では固定量の数値が公式プレスリリースに明記されており、モニタリング調査と組み合わせることで、J-クレジット制度における除去系カーボンクレジットとしての方法論確立への布石になりうる。

固定量の絶対値(2.6トン)は現時点では小規模だが、全国展開・面的普及が実現すれば、建設セクター由来の技術的炭素除去(CDR)として日本国内における注目度は高まると考えられる。

CPコンクリートによるCO2固定は技術的CDRの国内事例として希少であり、今後のJ-クレジット制度への方法論登録を見据えたMRV体制の整備が業界全体の課題となる。調達・施工段階からCO2固定量を把握・記録する仕組みを構築することで、建設バリューチェーン全体のScope3削減戦略と連動させる可能性も生まれる。日本企業はこうした「材料レベルのCDR」を調達戦略に組み込む視点を早期に持つことが競争優位につながるだろう。

参考:https://www.city.hino.lg.jp/press/1030253/1030510.html