カーボンクレジットデベロッパーのバイウィル、自動車部品製造のIJTT、そしてCO2吸収技術を開発するSanta Mineralの3社は9月10日、大気中の二酸化炭素を直接回収(DAC)し、コンクリートに固定化する国内初の実証実験を開始した。吸収装置の常時運用は国内初の試みであり、3社は2026年中のカーボンクレジット創出を目指す。
今回の実証では、Santa Mineralが開発したCO2吸収・固定装置「SUKUU(スクウ)」を、バイウィル本社オフィスとIJTT北上工場に設置。大気中のCO2を回収してコンクリートに固定化し、バイウィルが主導してJ-クレジット制度の方法論「IN-006:CO2吸収型コンクリート」を適用したプロジェクト登録を進める。

バイウィルの下村社長は「製造業と建設業を結びつけ、CO2除去クレジットを核にした新しい産業モデルを構築したい」と述べた。IJTTは鋳造工場を提供し、廃砂を活用したCO2吸収セラミックの開発を進める。Santa Mineralは装置の改良と量産化に取り組み、社会実装を見据えたコスト低減を図る。
J-クレジット制度 環境配慮型コンクリートの新方法論を導入
こうした動きの背景には、J-クレジット制度で、2025年7月にコンクリート分野における新たな方法論が承認されたことがある。従来の「ポルトランドセメント配合量の少ないコンクリートの使用(EN-S-040)」に加え、次の2つが新たに制定された。
IN-006:CO2吸収型コンクリートの使用
大気中のCO2を吸収・固定する機能を持つコンクリートを対象とし、除去系カーボンクレジット創出を可能にする。
IN-007:バイオ炭使用型コンクリートの使用
コンクリートにバイオ炭を混合し、炭素を長期固定化する取り組みを評価する。
これにより、従来の排出削減型に加え、除去系技術を活用したコンクリート利用が制度上認められることになった。
既に大成建設の「T-eConcrete®」、鹿島の「ECMコンクリート」、大林組の「クリーンクリート®」など、セメント削減型の事例はクレジットを獲得している事例はあるものの、今回の新方法論での創出事例は現時点で無いため、上記の事例は新方法論での創出を目指すプロジェクトとなる。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000330.000013100.html