J-クレジット創出の“手間”をDXで解消 エナリス、ブロックチェーンMRVシステム『eneGX MRV’S』を運用開始

村山 大翔

村山 大翔

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ブロックチェーン連携による省力化・透明性強化で、小規模事業者の参入促進と脱炭素化の加速へ

2025年4月、株式会社エナリスが開発・提供するMRV支援システム『eneGX MRV’S(エネジーエックス・マーブス)』の正式運用がスタートしました。本システムは、環境省から「J-クレジット制度におけるMRV支援システムの運営者」として採択されたことを受け、太陽光発電設備の導入に特化した方法論「EN-R-002」を対象に、クレジット創出にかかる測定・報告・検証プロセスを包括的に支援します。

カーボンプライシング時代に必須の“簡便なMRV”

2026年にGX-ETS(排出量取引制度)の本格始動が予定される中、国内カーボン・クレジット市場は急速に整備されつつあります。しかし、クレジット創出に必要な「MRV(測定・報告・検証)」業務は煩雑であり、特に人的リソースが限られた中小企業にとっては大きな参入障壁となってきました。

こうした課題を解消すべく、エナリスは環境省のビジョンに沿って『eneGX MRV’S』を開発。ブロックチェーン技術によるトレーサビリティの担保と、モニタリングから申請までを一気通貫で支援する設計により、MRV業務の効率化と正確性を両立させています。

『eneGX MRV’S』は、以下の点で他の支援ツールと一線を画します。

  • 自動データ連携:IoT計測機器等との接続により、電力量や稼働データをリアルタイムに取得。
  • 報告書自動生成:省エネ活動実績を元に、検証機関向けの報告書をワンクリックで作成可能。
  • 国の登録簿システムとの連携:J-クレジットの登録・認証作業をオンラインで完結。
  • ブロックチェーン管理:創出されたクレジットのトレーサビリティを高水準で確保。

加えて、プロジェクト創出段階から検証・申請・販売支援まで一貫してサービス提供できる体制を整えており、再エネ導入とクレジット創出の“二重の経済価値”を顕在化させる点が強みです。

他の方法論への対応と「地産地消型クレジット市場」の形成へ

現在は太陽光発電(EN-R-002)に限定されていますが、今後はバイオマスや省エネ設備、農業起源など他の方法論への拡張が予定されています。また、Jクレジットの販売・買取機能の実装も視野に入れており、「プロジェクト創出→MRV支援→取引→オフセット利用」までをワンストップで提供する総合的なカーボンソリューション企業としての地位を確立する構えです。

エナリス代表の都築氏は「我々の目指すのは、“J-クレジットの民主化”です。手間とコストの壁をテクノロジーで取り払い、すべての主体が公平に環境価値を創出・活用できる社会を実現していきます。」とコメントしています。

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000070390.html