Verra、「水浄化システム」排出削減法を改訂 非再生バイオマス削減とREDD+重複回避を強化

村山 大翔

村山 大翔

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カーボンクレジット認証機関のベラ(Verra)は10月31日、クリーン開発メカニズム(CDM)の方法論「AMS-III.AV.:低温室効果ガス排出の安全な飲料水生産システム」に関する改訂版「VMR0015」を公表した。新基準は、再生不可能なバイオマスの算定方法やREDD+プロジェクトとのダブルカウント防止措置を追加し、カーボンクレジットの精度と透明性を高めることを目的としている。

今回の改訂は「軽微な修正」と位置づけられているが、CDM由来の既存手法AMS-III.AV.の運用を停止し、ベラの「検証済みカーボンスタンダード(VCS)」プログラムの下で新たな管理体系に移行する重要な転換点となる。VMR0015は、飲料水の安全供給のために低排出型の浄化システムを導入し、従来の非再生性バイオマスや化石燃料を用いた煮沸行為を代替するプロジェクトに適用される。

主な改訂点として、再生不可能なバイオマス(NRB)の割合を算出するための更新手法が導入されたほか、プロジェクトが節約した非再生木質バイオマスの利用に伴うリーケージを補正する係数の設定が義務化された。また、CO2および非CO2成分を含むバイオマス・化石燃料の排出係数が更新された。

さらに、森林減少防止プロジェクトであるREDD+および管轄型REDD+プログラムとのダブルカウントを防ぐための検証要件が新たに追加された。これは、炭素除去(CDR)や森林保全に関連する複数クレジット制度の整合性を高める狙いがある。併せて、他の技術導入が排出削減量に与える影響を考慮したベースライン修正、および配布された各装置のデータ集計・報告方法の厳格化も盛り込まれた。

今回の改訂により、飲料水供給を通じた排出削減プロジェクトの精度向上と、バイオマス利用・森林保全領域の整合化が進むとみられる。水質改善と気候対策の双方に寄与する新手法として、特にアフリカや南アジアの農村地域での活用拡大が期待される。

参考:https://verra.org/verra-publishes-revision-to-cdm-methodology-for-water-purification-systems/