Varaha、アジア初のERWカーボンクレジット発行 「岩風化技術」でCO2除去と農業共生を両立

村山 大翔

村山 大翔

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インド発の炭素除去(CDR)スタートアップ、ヴァラハ(Varaha)は10月24日、自然由来のCDR技術である岩石風化促進(ERW)によるカーボンクレジットを発行したと発表した。認証を行ったのはフィンランドの認証機関ピューロアース(Puro.earth)で、アジアでは初、世界全体でも3例目のERW認証案件となる。

今回の発行により、ヴァラハはERWとバイオ炭の2種類のCDR手法で認証済みクレジットを発行した世界初の企業となった。ヴァラハは現在、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)において世界第2位のバイオ炭CDR供給者でもある。

ERWプロジェクトはインド中部マディヤ・プラデーシュ州カルゴーンで展開されており、主に綿花を栽培する小規模農家と提携して実施されている。ヴァラハは、石材破砕工場から排出される廃棄副産物の玄武岩粉を農地に散布し、大気中のCO2を炭酸水素塩へと固定化する自然反応を促進する。粉末が極めて微細であるため、CO2吸収量を高精度で計測できるという。

農家に対しては、この玄武岩粉を無償提供し、調達・輸送・散布のコストも同社が負担する。これにより農家側の経済的負担を避けつつ、化学肥料の使用量削減や土壌中の養分保持力向上といった副次的効果も得られる。

同社は、科学的根拠に基づくデータとデジタル測定・報告・検証(dMRV)システムを組み合わせ、ピューロアースの認証によって高い透明性と信頼性を担保している。

ヴァラハ共同創業者兼CEOのマドゥール・ジェイン氏は次のように述べた。「この発行は、私たちの科学的アプローチが認められた証であり、気候行動がいかに包摂的であり得るかを示すものだ。地域の廃棄物を地球規模の気候ソリューションへと転換することで、小規模農家の手からより良い地球への道が始まることを示したい。」

同社は2024年にも、インド初となる工業バイオ炭由来の認証クレジットを発行しており、今回で2種類目のCO2除去手法で成果を上げた。ヴァラハは今後も、小規模農家の協働によるギガトン級の気候アクションを掲げ、インド発の包摂的カーボンリムーバルモデルを拡大する方針だ。

参考:https://www.linkedin.com/posts/varaha-carbontech_asias-first-registry-backed-erw-carbon-credit-activity-7387176393723469825-7_u-/?utm_source=share&utm_medium=member_desktop&rcm=ACoAABhNAmQBiNfz7R9dkr1iBVrHnllWuKzExag