英国初のCCS併設廃棄物発電施設が建設段階に移行

カーボンクレジット.jp 編集部

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英国初となる、廃棄物発電(EfW)施設にCCSを併設したProtosプロジェクトが、建設段階に入った。EPC契約者のカナデビア・イノバ(Kanadevia Inova)が杭打ち工事に着手し、2029年の完工を目指す。

回収するCO2は年間約37万トンで、パイプライン経由でリバプール湾の枯渇ガス田に地中貯留する。英国の産業脱炭素において、廃棄物発電部門でのCCS実装を示す先行事例となる。

施設構成と建設の進捗

施設はチェシャー州エレスメアポート近郊に立地し、エンサイクリス(Encyclis)が手掛ける。隣接するProtos ERF(廃棄物処理発電施設)の排ガスからアミン吸収法でCO2を回収する。カナデビア・イノバは4.4エーカーの敷地で準備工事を終え、基礎の杭打ちに移行した段階にある。

Protos ERFはエンサイクリスとビファ(Biffa)が共同保有し、現在は試運転の最終段階にある。稼働後は年間最大50万トンの再生不可能な廃棄物を処理し、49.9MWのベースロード電力を供給する。

本プロジェクトはHyNet North Westの産業脱炭素クラスターを構成し、2023年に英国政府のクラスター・シーケンシング計画のTrack 1案件として選定された。エンサイクリスは英国・エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)と基本合意(Statement of Principles)を締結し、商業化交渉を進めてきた。

公的支援スキームと回収CO2の性格

Track 1案件として、本事業は政府の公的支援スキームの下で商業的成立を図る。回収・貯留されるCO2の価値づけは、まず規制・公的枠組みの中で位置づけられる。

回収対象には再生不可能な廃棄物の燃焼由来CO2が含まれる。このうち生物起源画分の燃焼に由来する回収分は、大気中CO2の純減をもたらす除去系(負の排出)の性格を持つ。他方、化石由来画分に由来する回収分は回避系にとどまる。エンサイクリスが本事業を「ネットゼロを超える負の排出」と位置づける根拠は、前者の存在にある。

編集部の視点

本件の意義は、公的支援主導で廃棄物発電部門のCCS実装モデルを確立した点にある。Track 1の枠組みで貯留事業の商業的成立を図る構図は、同部門の横展開に向けた一つの型を示す。

カーボンクレジット市場の観点では、回収CO2のうち生物起源画分由来の除去系部分を、ボランタリーカーボンクレジット市場の除去系カーボンクレジットとして価値づけられるかが次の論点となる。公的支援スキームの下で貯留される炭素と、市場で取引され得る除去系カーボンクレジットを、二重計上を避けつつどう切り分けるか。この整理が、同種事業の収益構造と横展開の速度を左右する。

参考https://www.encyclis.com/news/uks-first-full-scale-carbon-capture-plant-for-efw-is-in-final-negotiations-with-government/