ウガンダ初の大型カーボンクレジット事業が始動 バイオ炭スタートアップのStack Carbonが中国・ノルウェー企業と連携

村山 大翔

村山 大翔

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気候テック企業のスタックカーボン(Stack Carbon)は1月5日、ウガンダ議会の協力のもと、中国およびノルウェーのパートナー企業と国内初となる大規模なバイオ炭による炭素除去(CDR)施設の建設に向けた覚書(MoU)を締結した。

「ナイル・チャー炭素除去プロジェクト(Nile Char Carbon Removal Project)」と名付けられたこの事業は、同国およびアフリカ全土における産業用CDRのモデルケースとして、農業廃棄物の削減と高品質なカーボンクレジットの創出を目指す。

投資額1,200万ドル(約18億円)が見込まれる同プロジェクトは、今後20年間で1,000万トン以上の農業廃棄物を処理する計画である。従来は焼却処分や埋め立てによって二酸化炭素(CO2)を排出していたバイオマス原料を、熱分解装置を用いてバイオ炭へと変換し、土壌改良用の肥料として再利用する。これにより、大気中のCO2を長期間にわたって土壌に固定する炭素除去を実現する。

スタックカーボンの最高経営責任者(CEO)であるバシール・ダン氏は「本プロジェクトは、農業廃棄物をウガンダの食料システムにおける生産的なインプットへと変換することに注力している」と述べた。

現在、ウガンダは年間3億ドル(約450億円)以上の化学肥料を輸入しており、農家にとって大きなコスト負担となっている。バイオ炭由来の肥料を安価に提供することで、土壌の保水力や養分保持力を高めつつ、農家の経済的負担を軽減する狙いがある。

技術供給を担うのは、中国の嘉興通奥環境技術(Jiaxing Tongao Environmental Technology Co. Ltd.)で、1日あたり30トンの生産能力を持つ連続式熱分解装置を導入する。同社にとってアフリカ市場への初進出となり、現地の技術者やエンジニア約100人に対する技術トレーニングや知識移転も実施される。また、ノルウェーのテラキャップエックス(TerraCapX AS)がプロジェクト全体のレジリエンス強化を支援する。

各企業の役割と専門領域

グリーンチャ・クライメート・ソリューションズ(Greenchar Climate Solutions Pte. Ltd.)の共同創設者兼エグゼクティブ・ディレクターのクロエ・ハン氏は「本プロジェクトはパリ協定第6条のメカニズムに適合する可能性があり、検証済みのカーボンクレジットを生成する大きな機会となる」と指摘した。プロジェクトは環境影響評価やモニタリング、検証に関する国際的な市場基準を遵守し、透明性の高いクレジット創出を行う方針である。

設備の設置は2026年中盤を予定しており、同年第3四半期(7月〜9月)からの商業運転開始を目指している。ウガンダ政府やウガンダ開発銀行(UDB)などの関係機関もこの動きを注視しており、気候変動対策と農業振興を両立する新たなビジネスモデルとしての期待が高まっている。

今回のウガンダにおけるバイオ炭プロジェクトは、グローバル・サウスにおける炭素除去(CDR)事業の理想的な形を示している。

バイオ炭は、高価な設備を要するDACなどと比較して、現地の農業課題(肥料コスト高騰や土壌劣化)を直接解決できる「実益を伴うCDR」である点が強みである。

特に注目すべきは、パリ協定第6条への言及だ。中国の低コストな熱分解技術と、北欧・シンガポールの炭素市場への知見を組み合わせることで、アフリカ発の高品質なカーボンクレジットを国際市場に供給する流れが加速するだろう。

日本企業にとっても、こうした現地課題解決型のCDRプロジェクトへの投資や技術供与は、サステナブル投資および高品質なカーボンクレジット確保の観点から、非常に参考になる事例と言えます。

参考:https://igrownews.com/stack-carbon-latest-news/