英合成燃料スタートアップが13億円の資金調達 合成天然ガス生産の加速へ

村山 大翔

村山 大翔

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英スタートアップのRivanは21日、合成燃料技術の研究開発とパイロット施設の拡張に向け、約13億円(1,000万ポンド)の資金調達を完了したと発表した。調達はPluralが主導し、20VCやNFDG、ストライプ創業者のパトリック氏とジョン・コリソン氏らの支援も得た。

同社は鋼鉄、セメント、化学産業など脱炭素が困難とされる分野に向け、太陽光発電によるオフグリッド型のモジュール式プラントで合成天然ガス(SNG)を生産する取り組みを進めている。

Rivanは、天然ガスに依存し、世界のGHG(温室効果ガス)排出の5分の1以上を占める重工業分野において、カーボンニュートラルな代替燃料の開発に注力している。今回の資金調達は、電解装置、DAC(Dirct Air Capture)、サバティエ反応器といった独自技術の研究開発と、ロンドン南部にある既存パイロット施設の1メガワット規模への拡張に使われる。

同社は英国内で設計・製造を完結させる垂直統合型の体制を構築。エンジニアリングチームによる迅速な試作と改良を繰り返しながら、インフラ整備コスト(Capex)と運用コスト(Opex)の抑制を実現し、将来的な量産化に向けた準備を進めている。

現在、元軍事基地に設置された100キロワットのパイロットプラントでは、水と空気のみからグリッド対応のSNGを生成。ここで得られた運用データをもとに、2026年の商用展開に向けて1メガワットへの拡張が進行中である。

同社の初製品は、水素とCO2を反応させて99.9%純度のCH4(メタン)を生成するプラントで、既存のガスインフラに直接注入可能。将来的には欧州全域への展開を見込んでいる。

英国では、一次エネルギーの約40%を化石燃料に依存し、ガス備蓄も7日分と極めて少ない。この脆弱なエネルギー基盤を補う手段として、再生可能エネルギーを活用した国内燃料生産の必要性が高まっている。リバンは、安価かつ分散可能な合成燃料の大規模供給体制の確立により、エネルギー安全保障の確保に貢献するとしている。

参考:https://rivan.com/seed-funding-announcement/