炭素除去(CDR)事業を手掛ける英リジデュアル(Residual)は10月30日、カーボンクレジット登録機関のレインボー(Rainbow)と提携し、高品質バイオ炭カーボンクレジットの開発を進めると発表した。ICROAが承認するレインボーの標準を活用し、バイオマス廃棄物を高信頼な炭素除去資産へと転換する産業・農業プロジェクトを共同推進する。
リジデュアルは、高品質CDR案件の開発に実績を持つ企業で、今回の連携では廃棄バイオマスを原料とするバイオ炭プロジェクトを立ち上げ、品質保証・スケール化・トレーサビリティの強化を担う。レインボーはプロジェクトの認証・カーボンクレジット発行を支援し、ボランタリーカーボンクレジット市場への流通を加速させる。
この協業は、世界的にバイオ炭需要が急拡大する中での動きだ。CDR.fyiの報告によると、2025年5月までに契約済みのバイオ炭によるCO2除去量は約1,500万トンに達し、2022年以降の契約量は累計300万トンを超えた。需要は依然として供給を上回っており、両社の連携は「信頼性の高い供給源」として市場のボトルネック解消に寄与すると期待される。
リジデュアルの共同創業者ローラ・フリッチ博士は「高信頼のCDRには、厳格な設計と信頼できるデータ、そして明確なリスク分担が必要だ。レインボーと協働することで、持続的な気候便益を生みつつ効率的に拡大できる」と述べた。
一方、レインボーの共同創業者グレゴワール・ギローダン氏は「当社の使命は、企業の脱炭素戦略に整合する科学的根拠に基づいたカーボンクレジットを発行することだ。Residualとの協力は、CDR市場の信頼性と成長を加速させる」と語った。
レインボーは「次世代型カーボンスタンダード」として透明性と科学的厳密さを重視し、永続的な炭素貯留を実現するプロジェクト支援に注力している。リジデュアルは今後、産業廃棄物やバイオマス由来の炭素除去を「持続的な気候資産」として構築し、企業が安心して購入できる高品質カーボンクレジット供給体制の確立を目指す。