2.8百万本の植樹と72,000haの転換で、30年間で1.5百万tのCO2削減へ
世界最大の食品・飲料企業ネスレと、天然由来原料に特化するofiは2025年4月、ブラジル、コートジボワール、ナイジェリアを対象に、両社史上最大規模となるアグロフォレストリープログラムの開始を発表した。本プロジェクトは約25,000人のカカオ農家を対象とし、今後30年間で150万トン超のCO2削減を目指す。
土地再生と炭素削減を両立
プロジェクトでは、気候変動に強い農業(気候スマート農業)への移行を後押しすべく、農家に対する作物残渣管理・アグロフォレストリー技術の研修を実施。AIを活用したofiの炭素ストック測定ツールにより、植樹位置や成長状況を可視化・追跡。植樹される280万本の樹木は第三者によって認証され、72,000ヘクタールの農地がアグロフォレストリーへと転換される予定だ。
この取り組みは、ネスレの「カカオ・プラン」および2050年ネットゼロ目標、ならびにofiの再生型農業戦略「Cocoa Compass」「Choices for Change」を直接支援する形となる。
ESG時代の新たな農家支援モデル
ネスレとofiの共同プロジェクトには、以下の特徴がある。
1. アグロフォレストリーと炭素管理の実地研修
農家に対して、日陰樹の混植やカカオ殻の堆肥化といった土壌改善技術を提供し、農地のGHG排出削減と生産性向上を両立。
2. 規制対応を見据えた教育支援
ARS(アフリカ地域持続可能性基準)やEUDR(EU持続可能なカカオ調達規則)に対応した研修を通じ、農家を「環境の守り手」として育成。
3. 植樹インセンティブと直接報酬
植樹や維持管理に応じて金銭的報酬が提供され、経済的動機付けと気候変動緩和の両立を実現。
4. MRVとインパクト測定の高度化
ofiの「AtSource デジタル・フットプリント計算機」により、炭素吸収量や持続可能性指標をリアルタイムで定量評価。
ネスレ・カカオプラン マネージャー Darrell High氏は「私たちの気候変動対策の中心にいるのは“人”です。アグロフォレストリーによって、より責任あるカカオ供給網を実現し、2050年の目標に向けた道筋をつけます。」とコメント、ofi・カカオサステナビリティ統括 Andrew Brooks氏は「農家と共に取り組むことで、真に意味のある気候アクションが実現します。今回のグローバルパートナーシップは、再生型農業のスケールアップに向けた新たな一歩です。」とコメントしています。