Puro.earth、Nasdaq主導で19億円を調達 「炭素除去(CDR)をインフラへ」加速

村山 大翔

村山 大翔

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ヘルシンキ拠点の炭素除去(CDR)プラットフォーム、ピューロ・アース(Puro.earth)は9月4日、シリーズB資金調達で1,100万ユーロ(約19億円)を確保したと発表した。主導したのは米ナスダック(Nasdaq)で、フィンランドの電力大手フォータム(Fortum)傘下のフォータム・イノベーション・ベンチャーリング(Fortum Innovation & Venturing)も参加した。今回の資金は、工学的CDRプロジェクトの認証基盤強化や、サプライヤー支援体制の拡充に充てられる。

ピューロ・アースのヤン=ウィレム・ボーデ社長は「CDRはイノベーションからインフラへと進化している。買い手と供給者の双方が求めているのは、透明性と信頼性を備えた市場基盤だ」と述べ、金融インフラと気候専門性を融合させることで市場拡大を加速させる方針を示した。

調達資金は、高品質のCDRカーボンクレジットの発行頻度向上、オフテイク契約の円滑化、デジタル監視・報告・検証(dMRV)ツールの統合に投じられる。これにより、企業が長期的に信頼できるカーボンクレジットを調達しやすくする狙いだ。

ナスダックの炭素市場責任者でピューロ・アースの会長を務めるフレドリク・エクストロム氏は「この投資によって高い完全性を持つ炭素市場の実現を加速する」と語り、金融市場における投資対象としての信頼性確立を強調した。

同社は2019年に世界初の工学的CDR専用の認証基準「ピューロ・スタンダード」を導入し、これまでに100万件超のCO2除去証書(CORC)を発行した。これは他のいかなるCDR基準よりも多い。買い手にはマイクロソフト(Microsoft)、ショッピファイ(Shopify)、チューリッヒ保険(Zurich Insurance)などの大手企業が含まれる。

2025年にはバイオ炭手法の改良や、カーボンクレジット取引を容易にするAPIの公開も行った。また、フロンティア・クライメートが同社を主要なクレジット発行者に指定し、アジア太平洋地域を成長市場と見なすなど、国際的な評価も高まっている。

ナスダックは2021年に同社の過半数株式を取得しており、今回の投資は市場インフラ整備をさらに後押しするものとなる。ピューロ・アースは「高完全性のCDR市場をグローバルに拡大する」という戦略的使命を掲げており、今後の資金活用によって市場拡大を一層加速させる見通しだ。

参考:https://puro.earth/our-blog/339-puro-earth-secures-11m-series-b-financing-led-by-nasdaq-with-participation-from-fortum-innovation-venturing-to-strengthen-its-supplier-infrastructure