10月30日、石油・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、玄武岩やカンラン岩などの反応性鉱物を利用した新たな二酸化炭素(CO2)貯留の道を探る報告書『Expanding CO2 Storage: The Role of CO2 Mineralizing Rocks such as Basalts and Peridotites』を発表した。これらの岩石はCO2と自然反応して炭酸塩鉱物を形成し、CO2を数百万年単位で地中に固定できることから、従来の堆積層を用いた地質貯留を補完する「永続的貯留」の新たな選択肢として注目されている。
報告書は、鉱物化によるCO2貯留が地理的に多様な地域での炭素回収・貯留(CCUS)展開を可能にし、長距離輸送コストの削減にもつながると指摘する。特に堆積層が乏しい地域でもCCUSを進められる点を強調している。
OGCIは、欧州のラヴェンナCCUSやノーザンライツ、米国のストラトスやラバーグ、中国やサウジアラビア、ブラジルなど世界50超のCCUSハブ開発に関与しており、2030年までに年間最大5億トンのCO2を回収・貯留できる見通しだという。
報告書では、玄武岩やカンラン岩などの鉱物化岩石を対象に、パイロット実証の成果を踏まえて、技術的要件や安全なスケールアップのための規制・許認可枠組みを比較検討。各国政府、産業界、研究機関の連携による実証拡大とモニタリング手法の共有を呼びかけている。
OGCIの事務局は「鉱物化岩石をCO2貯留の新たなカテゴリーとして確立することは、世界的なCCUSマップを広げ、ネットゼロへの進捗を加速させる鍵になる」と述べた。
OGCIは世界の原油・天然ガス生産の約25%を占める12社(アラムコ、bp、シェブロン、中国石油天然気集団、エニ、エクイノール、エクソンモービル、オクシデンタル、ペトロブラス、レプソル、シェル、トタルエナジーズ)で構成され、低炭素技術への累計投資額は1,250億ドル(約19兆円)に達している。
本報告書は、CO2貯留技術の多様化と地域的拡張を図る政策議論に新たな指針を与えるものとなりそうだ。