カーボンクレジット管理事業を手がけるデブストリーム(DevvStream、NASDAQ: DEVS)は5日、初回資金調達で得た1,000万ドル(約150億円)をビットコイン(BTC)とソラナ(SOL)などの暗号資産購入に充てると発表した。世界のカーボンクレジット市場をブロックチェーンでデジタル化し、透明性と取引の速さを高める狙いだ。
資金は、総額3億ドル(約4,500億円)の転換社債枠の一部で、出資元はヘレナ・パートナーズ(Helena Partners)。既存株主の持ち株比率をできるだけ減らさずに、トークン化したカーボンクレジットの取引システムを拡大していく。
デブストリームは今回、「クリプト・トレジャリー」と呼ぶ暗号資産による財務基盤を新設。
- ビットコインは価値を安定的に保つ準備資産として活用。
- ソラナは高速かつ低コストのブロックチェーン機能で、カーボンクレジットの発行や即時決済を支える。
- 自社トークンのDevvEは、環境資産とブロックチェーンをつなぐ役割を担い、取引や検証を可能にする。
サニー・トリンCEOは「この資金枠で資本効率を高め、世界の投資家をデジタルの入り口から炭素市場に招き入れる」と語った。
同社が進めるのは、カーボンクレジットや再生可能エネルギー施設などの実物資産をデジタル化してトークンとして発行し、ブロックチェーン上で売買や追跡を可能にする仕組みだ。これにより、現在の市場が抱える「取引の遅さ」「不透明さ」「分断化」といった課題を解決する。
背景には、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)への信頼低下がある。2024年時点で約40億ドル(約6,000億円)の規模だが、温室効果ガス(GHG)削減量の3〜4割が二重計上の恐れがあるとされる。ブロックチェーンは改ざん防止やリアルタイム更新、カーボンクレジットの自動償却、分割所有などの機能で信頼性を高められる。市場調査では、この分野は2030年までに約1,300億〜1,600億円規模に成長する見通しだ。
デブストリームは暗号資産の保管を「BitGo」に委託し、FRNTフィナンシャルを財務顧問に起用。発表後、株価は上昇した。今後は残りの資金枠を使い、ブロックチェーン機能の強化や新規の環境プロジェクト支援、トークンプラットフォームの世界展開を進める計画だ。