「AIがCO2除去戦略をサポート」 CUR8が無料ツール公開、企業のCDR戦略を簡素化

村山 大翔

村山 大翔

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ロンドンを拠点とする炭素除去(CDR企業CUR8(キュレイト)は6月26日、企業が炭素除去の取り組みを手軽に始められる無料ツール「CUR8 Plan」を発表した。ロンドン気候行動週間にあわせて公開されたこのツールは、人工知能(AI)の力で脱炭素戦略の設計を効率化する。

CUR8 Planは、世界99カ国以上・1,000件超のCDRプロジェクトから集めた実績データと、最新の科学的知見に基づいて開発された。企業のサステナビリティ担当者が、専門知識や高額なコンサルに頼らず、自社に適したCDRポートフォリオを作成できるのが特長だ。

ツールを使えば、カーボンオフセットのリスク分析、予算の見積もり、国際的な基準(オックスフォード・オフセッティング原則やSBTiなど)への適合度の確認などが一括で行える。AIが「バーチャルCDR科学者」としてアドバイスを提供するイメージだ。

キュレイトの共同創業者でCEOのマルタ・クルピンスカ氏は「私たちの目標は、企業がCDRに自信を持って取り組めるようにすること。社内に専門家がいなくても、時間とコストをかけずに始められる環境を整えた」とコメントした。

サービスはすでに、ブリティッシュ・エアウェイズ、コカ・コーラHBC、スタンダードチャータード銀行などが導入している。今回の新ツールで、より多くの企業がCDRに取り組むきっかけとなることが期待される。

多くの企業がネットゼロ目標を掲げる一方、実際にCDRへ投資している企業はまだ少ない。その理由の一つが、専門性の高い市場への対応の難しさだ。CUR8 Planは、こうしたハードルを下げ、脱炭素の実行力を高めるツールとして注目されている。

世界では、CDR市場が今後数兆ドル規模に成長すると見込まれており、企業の早期対応が競争力のカギとなる。

参考:https://www.cur8.earth/plan