米国プロジェクトの行方や投資環境の変化が背景、技術革新に注力する方針を継続
DAC(Direct Air Capture)大手のClimeworksは2025年5月、経営体制の強化と資金運用の効率化を目的に、社内チームの一部削減を進める方針を明らかにした。同社の共同CEOであるクリストフ・ゲバルド氏とヤン・ヴルツバッハ氏が発表した声明の中で、世界的なマクロ経済の状況や政策の優先順位の揺らぎ、そして米国でのDACプロジェクトの不透明さが決定の背景にあると説明している。
声明では「我々はこの業界で大きな資金調達に成功したスタートアップのひとつであるが、その資金は慎重に管理する必要がある」と述べられており、スケールアップと財務の健全性の両立を意識した再構築となる。
米国のDAC大型プロジェクトにも逆風、業界全体で資金調達に陰り
今回の発表は、CDR分野における不確実性の高まりを背景とした動きである。2025年3月には、米エネルギー省が「Project Cypress」および「South Texas DAC Hub」への資金拠出の見直しを検討していると報じられ、両案件の継続性が懸念されていた。
また、同分野では依然としてCO2除去コストが高止まりしており、MicrosoftやGoogleといった大手購入者の存在はあるものの、新規バイヤーの参入が進まず、資金流入の裾野が広がっていないという課題も続いている。
高品質リムーバルと次世代技術への集中戦略へ
Climeworksは、こうした外部環境の変化に対し、次世代技術(Generation 3 DAC)の実装によるコスト削減に注力することで長期的な競争力を維持する方針だ。新技術により、1トン当たりのCO2除去コストを2030年までに250〜350ドル低下させ、最終的な除去コストは400〜600ドルの範囲を目指すとしている。
CEOの2人は「我々はこの挑戦に勝つためにいる。品質重視のCO2除去を軸に、技術革新の最前線であり続ける」と述べ、市場リーダーとしての地位強化に意欲を示している。