米スタンフォード大学ドーアサステナビリティ学部と米コンサル大手マッキンゼー・アンド・カンパニーは9月30日、複数の国際的パートナーと共同で新たな情報プラットフォーム「Climate Tech Atlas(気候テック・アトラス)」を公開した。温室効果ガス(GHG)の除去を含む6分野の技術革新を体系化し、世界的な排出削減の突破口と数兆ドル規模の市場機会を示す狙いだ。
ベータ版として立ち上げられた同アトラスは、ブレークスルー・エナジー(Breakthrough Energy)、エレメンタル・インパクト(Elemental Impact)、スピード・アンド・スケール(Speed & Scale)、エナジー・イノベーション(Energy Innovation)といった組織も参加して開発された。ビジュアルを多用した構成で、温室効果ガス除去、製造業、輸送、建築、電力、食料・農業・自然の6カテゴリーを網羅する。
温室効果ガス除去分野では、人工的・鉱物的・生物学的な炭素除去、さらにメタンや亜酸化窒素の除去を優先課題として提示。気候変動に対する「ゲームチェンジ」となり得る技術革新の必要性を強調している。
各カテゴリーでは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2050年までに予測する排出量を基礎に、緊急に進展させるべき「イノベーション必須領域」、大胆な挑戦を要する「ムーンショット」、高リスクだが高リターンの技術分野などを整理。代替燃料、スマート建築、冷暖房効率化など既存から新興、未発見の技術まで幅広く収録した。
加えて、各技術項目には政府機関や大学など信頼できる外部資料へのリンクが設けられ、深掘りが可能になっている。プラットフォームは「不確実な時代こそ持続的な解決策が生まれる」との認識からあえて今公開された。運営側は「気候技術を負担ではなく、数兆ドル規模のビジネス機会として提示することで、世界の脱炭素行動を加速させたい」と説明している。