カーボンクレジット認証団体Puro.earthは5月、中国で初めてとなるCORCを発行した。対象となったのは、MioTechが運営する「年達バイオ炭施設」で、農業廃棄物を熱分解し安定炭素として長期固定するバイオ炭技術を採用している。
科学的根拠に基づく高品質CDRが中国でも実現
Puro.earthが認証したニエンダー・バイオ炭施設は、中国国内で初めて同社の厳格な基準を満たした耐久性の高いCDRプロジェクトとなった。初回クレジット発行期間において、330トン相当のCORCが発行された。年間最大発行量は1,500 CORCを見込み、2026〜27年には生産ラインを2つ追加し、年4,500 CORCの発行を目指す。
同プロジェクトは農業廃棄物を熱分解処理してバイオ炭に転換することで、大気中の炭素を数百年にわたり安定的に土壌に固定できる仕組みだ。加えて、土壌改良や農薬・肥料の使用量削減にも寄与し、地域農家との連携によって農業廃棄物の利活用も進めている。
アジアCDR市場の信頼性向上に貢献
今回のCORC発行は、中国におけるカーボンクレジットの国際取引可能性を高める大きな前進といえる。Puro.earthの認証により、欧州や北米の企業が高品質なアジア発CDRクレジットにアクセスできるようになった。これにより、CDR市場全体の信頼性と流動性が高まり、国境を越えた脱炭素資金の移動が期待されている。
Puro.earthは現在、バイオ炭手法の最新版に関するパブリックコンサルテーションを実施中であり、CDR技術全体の透明性と妥当性の確保にも取り組んでいる。
「科学ベース」のCDRが国際市場で存在感増す
今回のニエンダー施設の認証とCORC発行は、Puro.earthが掲げる「科学的根拠に基づいた高信頼CDR」という理念の具現化であり、中国におけるCDR市場の礎となる。今後、アジア全体でバイオ炭をはじめとする自然ベースおよびエンジニアドCDRへの注目がさらに高まることが見込まれる。
参照:https://puro.earth/CORC-co2-removal-certificate/supplier-listing/nian-da-biochar-facility-147?utm_campaign=Supplier%20listings&utm_content=331678076&utm_medium=social&utm_source=linkedin&hss_channel=lcp-14052561