Charm、Mangroveと提携 デジタルMRV基盤を強化しCO2除去事業を世界展開へ

村山 大翔

村山 大翔

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炭素除去(CDR)事業を手がける米チャーム・インダストリアル(Charm Industrial)が、デジタル計測・報告・検証(dMRV)システムの強化を目的にマンゴローブ・システムズ(Mangrove Systems)と提携しました。

同社は、バイオマスを熱分解して生成するバイオオイルとバイオ炭を地下に封じ込める「永続的炭素貯留」の手法で知られ、グーグル(Google)、マイクロソフト(Microsoft)、ストライプ(Stripe)、ショピファイ(Shopify)などの企業からCDRクレジットの購入を受けている。

チャーム(Charm)は2022年、自社開発のdMRVプラットフォーム「レジャー(Ledger)」を導入し、CDR工程の透明化を進めてきた。レジャーは、バイオマス調達から熱分解、生産されたバイオオイルの注入までの全過程を記録し、検証機関アイソメトリック(Isometric)の認証API「Certify」と連携してデータを公開する仕組みだ。

今回の提携により、チャームは分散型の運用モデルに対応した新たな共有型MRVインフラへと移行する。米国内では多数の提携企業と連携しており、単一の社内システムでは限界が生じていたためだ。マンゴローブは、複数の炭素フロー(バイオオイルとバイオ炭)を高精度で追跡し、質の高いCDRの検証を可能にする。

同社によると、過去1年間で「検証までの時間(Time to Verification)」を7倍短縮するなど、カーボンクレジット発行までのプロセスを大幅に改善した。マンゴローブの導入により、このプロセスをさらに自動化し、データ処理量の増加にも対応できるという。9月以降のCDR実績はすべてマンゴローブ基盤上で運用され、今後のカーボンクレジット発行も同システム経由で行われる。

チャームの共同創業者でCEOのピーター・レイン氏は、「MRVは当社の事業の背骨だ。データは単なる副産物ではなく、炭素除去の信頼性を裏づける基盤である」と述べた。またマンゴローブの技術責任者は、「チャームのように複数製品を同時生成するプロセス(Charm Duo)に対応できる柔軟なMRVシステムを構築した」と説明している。

両社は今後、AIによる自動データ検証やリアルタイム監視の統合を進め、カーボンクレジット発行までの期間をさらに短縮する計画だ。チャームは世界各地で新たな熱分解装置と注入拠点の展開を予定しており、マンゴローブとの提携は「ギガトンスケール」でのCDR実現に向けた重要な基盤となる。

参考:https://charmindustrial.com/blog/charm-partners-with-mangrove-to-scale-carbon-removal-operations