コスト削減と経営再構築を進めつつ、訴訟と投資リスクに対応
カナダのCarbon Streaming Corporationは2025年5月13日、同年第1四半期(1月~3月)の財務結果を発表した。持続的なコスト削減と経営の合理化に注力する一方、複数の投資案件におけるリスクや訴訟への対応も進めている。
CEOのマリン・カトゥーサ氏は、「2025年は既存ポートフォリオの価値最大化と、戦略的選択肢の評価に注力する」と述べ、買収・売却・戦略的提携などを含む多面的な対応方針を示した。また、過去の損失に関しては、元経営陣や関係者を相手取った損害賠償請求訴訟をオンタリオ州高等裁判所に提起したことも公表された。
財務ハイライト、損失縮小と支出削減が進展
同四半期の営業損失は135万ドル(前年同期:3,676万ドル)、純損失は82万ドル(前年同期:3,577万ドル)で、大幅に改善。従業員・コンサルタント・役員報酬を大幅に削減し、2025年5月時点でフルタイム給与を受けるスタッフはわずか3人に減少した。
キャッシュは3,644万ドルを維持し、社債はゼロ。カーボンクレジットのストリーミングおよびロイヤルティ契約に関する評価益(49,000ドル)を計上する一方、契約からの収益は2,000ドルにとどまった。一部プロジェクトの停止や遅延が続いており、慎重な財務運営が続く。
ポートフォリオ進捗と主な課題
- ナールゴンダ稲作ストリーム(インド)
Verraの方法論見直しによる一時停止を経て、AMS-III.AU下で登録。今後は新たに発表されたVM0051方式への移行を計画。 - シープクリーク再植林ストリーム(米国)
苗木の高死亡率と成長不良により、パートナー企業がプロジェクトの継続不能を通知。評価額はゼロに修正され、現在法的対応を検討中。 - バッカラ再植林ストリーム
資金未拠出のまま、提携先よりプロジェクト終了の通知。 - エンフィールド・バイオチャー・ストリーム
パートナー企業のStandard Biocarbonが新CEOを迎え、体制変更後の実行段階へ進行中。
再建継続と不確実性への対応
同社は現在、保有ポートフォリオの経済性最適化と支出削減を中心に事業再建を継続している。中核資産であるRimba Raya、Magdalena Bay、Sustainable Community、Sheep Creekの4案件については、2024年中に評価額をゼロに下方修正。事業パートナーとの契約不履行や訴訟に起因する損失が生じている。
今後の見通しは依然として不透明であり、市場の規制変化、クレジット価格の変動、プロジェクトの遅延・失敗リスクが残る中、あらゆる戦略的選択肢を検討し、株主価値最大化を図る構えだ。