ブラジルREDD+大手が土壌炭素分野に参入 「REDD+依存」から脱却図る

村山 大翔

村山 大翔

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ブラジルの有力なREDD+(森林減少・劣化の削減)プロジェクト開発企業であるカーボネクスト(Carbonext)は6月25日、農地の土壌に炭素を蓄える「再生型農業(ALM)」を手がけるナチュラル・カーボン(NaturAll Carbon)に出資したと発表した。REDD+に依存していた事業モデルから脱却し、炭素除去(CDR)分野の幅を広げる狙いだ。

ナチュラル・カーボンはイギリスとブラジルの合弁企業で、南米で最初の再生型農業プロジェクトを開発した実績を持つ。農業大手AMAGGIと連携して大規模プロジェクトも進めており、今回の提携によりカーボネクストは同社との関与を深めることになる。出資額は明かされていないが、カーボネクストは「戦略的パートナー」として重要な役割を担うとしている。

カーボネクストの共同CEO、ルシアーノ・コレア・ダ・フォンセカ氏は「市場が成熟する中、炭素の吸収や除去の方法を広げることが不可欠だ」と語った。ナチュラル・カーボンのCEO、アレクサンドレ・レイチ氏も「ブラジルの農地土壌には、炭素を大量に蓄える無限の可能性がある」と述べ、大規模な再生型農業の展開には協力が重要だと強調した。

これまでカーボネクストは、REDD+による森林保全を中心に事業を展開してきたが、近年ではREDD+の信頼性に対する懸念が世界的に高まっている。プロジェクトの二重計上や、森林がどれだけ守られるかという基準の不透明さが問題視されている。

一方で、ALMによる土壌炭素の蓄積は、除去量が明確であることや、生物多様性や食料安全保障といった副次的な効果があることから、新たなCDR手法として注目を集めている。国際的な認証制度でも、ALMを支援する動きが強まっている。

ナチュラル・カーボンとの共同プロジェクトの詳細や、最初のカーボンクレジット発行時期については、2025年内に発表される見込みである。

参考:https://pt.linkedin.com/posts/carbonext-sa_cbx-na-m%C3%ADdia-parceria-naturall-carbon-activity-7343737734970114050-A2rq