BoomitraとSocial Carbon Foundationは、インドで初となる土壌炭素クレジット(Soil Carbon Credits)をURVARAプロジェクトから発行したことを発表しました。
この画期的な取り組みにより、6,000人以上の小規模農家が気候変動対策への貢献に対して気候ファイナンスを受け取ることが可能となります。
URVARAプロジェクトとは?50,000acを超える再生型農業推進
「URVARA(ウルヴァラ)」はサンスクリット語で「肥沃」を意味し、プロジェクト名にもその精神が込められています。
本プロジェクトはインド国内6州にわたる約50,000ac(約20,000ヘクタール)の農地を対象に、次のような再生型農業手法を推進しています。
- 最小耕起(リデュースド・ティレッジ)
- 被覆作物(カバークロップ)の導入
- 作物残渣の再投入
- かんがい改善
これまでに47,311クレジットが検証済みとなっており、今後20年間で計315,735クレジットが発行される見込みです。
衛星とAIを活用したMRV
Boomitraは、衛星データとAIによるMRV技術を活用し、1ac(約0.4ヘクタール)未満の農地でも参加可能な仕組みを構築。
従来、物理的な土壌サンプリングがコスト障壁となっていましたが、これにより炭素市場へのアクセスの民主化が実現しています。
高い透明性を誇る「Social Carbon」基準で発行
URVARAは、インド初となるSocial Carbonの手法で検証・登録されたプロジェクトです。
この手法は、気候貢献だけでなく、自然共益(Nature Co-benefits)と社会的共益(Social Co-benefits)も統合的に評価する高水準の認証スキームです。
プロジェクトデータや検証プロセスはすべてSocial Carbon Portalで一元管理され、透明性と効率性が飛躍的に向上しています。
Boomitra CEO アーディット・ムールティ氏は「小規模農家が土地再生に取り組みながら気候ファイナンスで収入を得る道を開く、大きな一歩となりました。Boomitraは、気候インパクトをスケールさせつつ、土地を守る農家を直接支援できることを証明しています。」と述べました。
Social Carbon Foundation共同代表 ディヴァルド・レゼンデ博士も「URVARAは、最も高品質で持続可能な自然由来炭素クレジットを提供できるモデルプロジェクトです。社会的インパクトを持つ自然資本ファイナンスへのアクセスを、小規模農家にも広げていきます。」と語っています。
未来へのインパクト
インドには9,300万以上の農業世帯が存在し、平均月収は約122米ドル(約18,000円)に留まります。
URVARAのようなプロジェクトは、農家の収入向上と気候変動対策の両立を実現するスケーラブルなモデルとして注目されており、インドの農業政策目標やSDGsにも合致しています。
発行されたクレジットは、第三者認証を経てSocial Carbon Foundationのレジストリで管理され、高い環境・社会的インテグリティを保証しています。