Avnos、「水を生むDAC」実証へ シェルと三菱商事が約25億円を出資 米国でハイブリッド型DAC施設建設へ

村山 大翔

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米カリフォルニア州ロサンゼルス発、炭素除去(CDR)技術のスタートアップのアブノス(Avnos)は11月6日、シェルUSガス・アンド・パワー(Shell US Gas and Power, LLC)および三菱商事アメリカから最大1,700万ドル(約25億円)のプロジェクト資金を確保し、世界初のハイブリッド直接空気回収(HDAC)施設「プロジェクト・シーダー(Project Cedar)」を建設すると発表した。

この投資は、両社が同社のシリーズA資金調達に参加したことに続くもので、アブノスの商業化段階への移行を後押しする形となる。新施設は2026年末の稼働を予定し、年間3,000トンのCO2を除去すると同時に、6,000トン超の淡水を副産物として生成する計画だ。

「水を生むDAC」で実用化加速

アブノスが開発するHDAC技術は、従来の直接空気回収(DAC)と異なり、外部熱源や水を必要としない。この点が、運転コストと資源制約の双方を大幅に低減させる鍵となっている。さらにHDACは「ウォーターポジティブ(水の純生産)」を特徴とし、CO2除去と同時にクリーンウォーターを生成する。

ウィル・ケイン最高経営責任者(CEO)は、「シェルと三菱商事の支援により、HDACの世界的な拡張に向けた再現可能なモデルを構築している。このプロジェクトは、CDRが『現実的で、再現可能で、スケーラブル』であることを証明するものだ」と述べた。

米国内で建設、詳細場所は後日公表

プロジェクト・シーダーは、同社にとって最大規模かつ最も野心的な取り組みであり、米国内で建設が予定されている。具体的な設置場所は今後発表される見通しだ。今回の資金は段階的な契約に基づいて拠出され、HDACの商業化モデル確立とコスト削減を加速させる目的で使われる。

累計1億ドル超の資金確保 CDR市場拡大に向けた布石

アブノスはこれまでに民間および公的資金を合わせて1億ドル(約147億円)以上を確保しており、CDR技術の市場展開に向けた重要な転換点に立っている。同社は、HDACを産業や地域を問わず適用可能な「実運用型DAC」として位置づけ、CO2除去と淡水供給の両立を武器に、次世代炭素除去インフラの標準化を目指す。

参考:https://www.avnos.com/news/avnos-secures-up-to-17-million-in-funding-to-build-flagship-dac-facility/