「熱帯林ファンド構想」を宣言 アマゾン8か国がボゴタ宣言に合意、カーボンクレジット市場外アプローチを模索

村山 大翔

村山 大翔

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アマゾン協力条約機構(OTCA)の加盟8か国は21日、第五回アマゾン諸国首脳会議を前に、外相会合で「ボゴタ宣言」に合意した。森林破壊の防止や先住民の知恵の保護を柱に、熱帯林を「立たせ続けること」に価値を与える新たな資金メカニズム「熱帯林フォーエバー基金(Tropical Forests Forever Fund=TFFF)」を前面に掲げた点が特徴だ。

会合はコロンビア外務省本庁舎(パラシオ・デ・サン・カルロス)で開かれ、域内の持続可能な開発や気候危機への対応を議論。OTCAのマルティン・フォン・ヒルデブランド事務総長は「8か国の政治的意思を結集し、アマゾン流域の統合的管理と地域社会の幸福を進める」と強調した。

COP30議長のアンドレ・コレア・ド・ラーゴ氏は「OTCAは気候外交で不可欠の役割を果たし、COP30における最重要の柱となる」と述べ、国際交渉への波及を指摘した。

コロンビアのロサ・ヨランダ・ビジャビセンシオ外相は「未曽有の環境危機に直面する今、流域国家は一体となって統合的アプローチを取らねばならない」と訴えた。ブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相は、資金動員の必要性に言及し「森林を守ることを収益化し、破壊よりも保存が利益を生む仕組みを作る」とTFFFの意義を説明した。

ベネズエラのイバン・ヒル外相は「アマゾン流域は一体のシステムであり、最大の気候被害をもたらしたのは先進国だ」と強調。ボリビアのセリンダ・ソサ外相は「森林が健全であれば地域も繁栄する」と持続可能な発展を訴えた。

エクアドルのアルトゥーロ・フェリックス・ウォン駐コロンビア大使は「不可逆的な転換点(ティッピング・ポイント)を避けるために、今こそ資金メカニズムを拡充すべきだ」と危機感を示した。ペルーのロムロ・アクリオ駐コロンビア大使は「自国領土の6割がアマゾンにあり、51の先住民族が暮らしている」と流域の重要性を強調した。

スリナムのメルビン・ブーヴァ外相は「アマゾンは祖先の歴史であり、現在の呼吸であり、未来の約束だ」と表現。ガイアナのコンプトン・ボーン駐ブラジル大使も、先住民族保護や市民社会の参画を評価し「包括的な取り組みになる」と述べた。

今回採択された20項目の決議は、森林・生物多様性保全、水資源の統合管理、科学研究と気候観測、先住民族の意思決定参加、資金調達と技術移転を柱とする。ボゴタ宣言は22日の首脳会議で正式承認され、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領とブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領が署名する予定だ。

今回の合意は、炭素市場に依存せず「非市場型アプローチ」で森林保護の資金を確保する点で注目される。今後、TFFFがどのように具体化し、COP30交渉でどのような位置付けを得るかが焦点となる。