ACCUを“資金源”に変える仕組みが豪州で始動
2025年4月23日、オーストラリアのAgriProveは、将来創出予定の土壌炭素クレジット(ACCU)を使ってアグリテック製品を導入できるマーケットプレイスを正式にローンチした。この「AgriProve Marketplace」は、カーボンクレジットを単なる販売対象から“農場経営の再投資資源”へと進化させる試みとして注目を集めている。
クレジット払いで農業機器導入
AgriProveはこれまで、農家が土壌炭素プロジェクトを通じて獲得するACCUを「将来の収益」と見立て、その価値を前倒しで活用する仕組み「Tags for Tonnes」を推進してきた。今回のMarketplaceはその延長線上にあり、将来発行予定のクレジット、すでに保有するクレジット、現金、またはその混合で、商品やサービスの購入が可能となる。
マーケットプレイスで提供される第一弾は、CERES TAG社のスマート家畜追跡デバイスと牧草管理ソフトウェアReady Graze™。これらのツールは、家畜の追跡と放牧最適化を実現しつつ、土壌有機炭素の蓄積を促す機能を備えており、炭素削減と農業収益の両立を目指すAgriProveの方針と一致する。
「ACCUウォレット」構想
AgriProveのCEOスチュアート・アプトン氏は今回の取り組みを、「土壌カーボンは単なるクレジット発行ではなく、“より良い農場づくり”に直結しています。マーケットプレイスは、農家が炭素蓄積の成果をすぐに活用できるインフラ。キャッシュを使わずに必要なツールを手に入れることで、経営インパクトを最大化できます」と語る。
今後は、家畜の体重を自動測定するOptiweighなど、さらなるアグリテック製品がマーケットプレイスに加わる予定。また、AgriProveは、将来的にACCUと他の環境価値を束ねた「デジタルウォレット」構想を掲げており、すでに複数のスタートアップやテックベンダーと協議を開始している。