アフリカ14カ国が600億円規模の資金動員を表明 森林認証を通じたカーボンクレジットの「高保全価値化」へ

村山 大翔

村山 大翔

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2026年2月10日から12日にかけてケニア共和国のナイロビで開催された「ザンバ・ヘリテージ会議(Zámba Heritage Congress)」にて、アフリカ14カ国政府とエフエスシー(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は、持続可能な森林管理(SFM)に向けて4億ドル(約600億円)を動員することを宣言した。

この取り組みは、パリ協定第6条に基づくカーボンクレジットの市場価値を高める戦略的枠組みとして機能し、2036年までに計3,000万ヘクタールの森林保護を目指すものである。

今回の合意は、アフリカの森林を世界の気候変動対策における最優先事項と位置づける「ザンバ・ヘリテージ行動計画」の核心をなすものである。同計画では2036年までに以下の目標を掲げている。

  • 持続可能な管理
    3,000万ヘクタールの森林をSFMの下に置く。
  • 景観修復
    500万ヘクタールの劣化土地を回復させる。
  • 資金動員
    公民連携や革新的な金融メカニズムを通じて4億ドル(約600億円)を確保する。
  • ガバナンス強化
    コミュニティの権利保護と公平な利益分配の確立。

また、エフエスシー(Forest Stewardship Council)は独自に1,100万ドル(約16.5億円)を拠出し、森林認証を取得する企業を直接支援する方針も示した。

本イニシアチブの最大の特徴は、エフエスシー(Forest Stewardship Council)による森林認証と、カーボンクレジット・プロジェクトを直接的に結びつけた点にある。ザンビア共和国のグリーン経済・環境省次官であるドウティ・チバンバ(Douty Chibamba)博士は、「森林認証の取得は、わが国のカーボンクレジットの整合性(インテグリティ)を強化するために不可欠である」と強調した。

世界的なボランタリー・カーボン市場における信頼性への懸念が高まる中、第三者機関による厳格な森林管理認証を付帯させることで、パリ協定第6条に基づく「相当調整(Corresponding Adjustments)」を見据えた高品質なカーボンクレジットの創出を狙う。これにより、アフリカ産カーボンクレジットの単価向上と、国際的な投資呼び込みを加速させる算段だ。

会議では、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)との覚書も締結された。まずはカメルーン共和国、ガボン共和国、コンゴ共和国を含むコンゴ盆地を重点地域とし、温室効果ガスの排出削減と生物多様性の保全を両立させる管理モデルの構築に着手する。

ガボン共和国では、2026年3月に国立公園局とエフエスシー(Forest Stewardship Council)が正式に提携し、13カ所の国立公園(計300万ヘクタール)での認証取得を開始する予定である。また、ケニア共和国においてもアバデア山脈周辺の約6.5万ヘクタールをモデル地区として、認証プロセスのパイロット運用が始まっている。

これら一連の動きは、単なる環境保護の枠を超え、アフリカ大陸全体の森林経済を「炭素吸収源」という資産として再定義する歴史的な転換点となる。

アフリカ諸国が「森林認証」と「カーボンクレジット」をセットで推進する動きは、日本企業にとって二つの意味を持つ。第一に、JCM(二国間クレジット制度)等を通じたアフリカでのプロジェクト開発において、FSC等の認証が事実上の「品質基準」となる可能性が高いこと。第二に、供給されるカーボンクレジットの透明性が高まることで、ESG投資を重視する日本の大手企業や、サプライチェーンの脱炭素化を迫られる中小企業にとって、調達のリスクが低減されることだ。今後は「認証付きカーボンクレジット」が市場のスタンダードになると予測される。

参考:https://fsc.org/en/newscentre/events/zamba-heritage-concludes-in-nairobi-with-a-landmark-declaration-for-africas