ERW研究、GoogleやFrontierらの資金提供でCDRの実用化を加速

村山 大翔

村山 大翔

「ERW研究、GoogleやFrontierらの資金提供でCDRの実用化を加速」のアイキャッチ画像

GoogleやFrontierらと連携、プロジェクトに資金提供しカーボンリムーバルの実用化を加速

2025年4月18日、カーボン除去の有力手法として注目を集めるERW(Enhanced Rock Weathering)の国際研究が、大きな後押しを得た。Cascade Climateは、Grantham Foundation、Google、Frontierと協力し、9カ国の9プロジェクトに総額120万ドル超(約1.8億円)を助成すると発表した。

「現場×科学」を軸に、ERWの理解深化と実装加速を狙う

本助成事業は、すでに展開中のERWプロジェクトに学術チームが“相乗り”する形で、現地での科学的検証を進める「ピギーバックモデル」を採用。選ばれたプロジェクトでは、以下のようなERWの重要研究課題が扱われる。

  • 二次鉱物の生成メカニズム
  • 土壌有機炭素量の変動
  • 風化生成物の土壌内移動パターン

各チームは、研究成果を科学論文およびERW Data Quarry(オープンデータプラットフォーム)で公開することが義務付けられており、透明性と再現性を担保しながらグローバルなERW理解の底上げを図る。

世界9カ国、多様な気候と農業環境からデータ収集

助成先は、気候帯・土壌・農業形態が多様な9カ国に広がっており、ERWのスケーラビリティに関する現地実証の蓄積が期待される。選考は、40件近い応募の中から2段階で実施。地球化学・土壌学・農学の専門家11名による外部審査を経て、科学的価値の高いプロジェクトが選ばれた。

審査は、従来のMRV(測定・報告・検証)枠にとどまらない科学的知見の拡張性を重視。スタンフォード大学のKate Maher氏やイェール大学のNoah Planavsky氏らが諮問役を務め、公平かつ専門性に基づく評価プロセスを確保した。

参照:https://cascadeclimate.org/blog/erw-field-grant-awardees