7月9日、世界取引所連盟(WFE)は英国政府に対し、カーボンクレジット取引から付加価値税(VAT)を撤廃し、カーボンクレジットを金融商品として認めるよう正式に求めた。脱炭素の加速には、市場の透明性や投資家保護が必要だと強調している。
世界の取引所で構成される世界取引所連盟(WFE)は、英国政府が進めるボランタリーカーボンクレジット市場およびネイチャークレジット市場の整備について支持を表明した。そのうえで、取引の活性化と脱炭素目標の達成には、カーボンクレジットの税制と法制度の見直しが重要だと訴えた。
WFEが示した主な要望は次の通りだ。
- カーボンクレジット取引にかかるVAT(付加価値税)をゼロにすること
- カーボンクレジットとネイチャークレジットの法的権利を明確にすること
- 税制、会計、金融規制を含む政府全体で制度整備を進めること
- 国際的なルールに柔軟に対応し、市場の革新を妨げないこと
- 企業に移行計画の公表を求め、排出削減の責任を促すこと
- パリ協定第6条の仕組みを活用し、市場の流動性を高めること
WFEは、カーボンクレジット市場は他の自然関連クレジットよりも成熟しているため、まず気候変動対策を優先しながら制度を整えるべきだと提案している。
WFEのナンディニ・スクマールCEOは「カーボンクレジット市場とネイチャー市場は、しっかりした脱炭素目標と移行計画と組み合わせることで、持続可能な経済への移行を加速できる力を持つ。しかし、そのためには明確な法律、税の中立性、投資家保護が必要だ」と述べ、「英国政府がカーボンクレジット取引のVATを撤廃し、金融商品として位置づけることが市場拡大に不可欠だ」と強調した。
カーボンクレジット市場は世界中で拡大しており、日本でも市場活性化のための税制・法制度の対応が課題となっている。WFEは今後も規制当局や政策立案者と協力し、公正で透明性のある市場の整備を進める方針だ。