トルコ議会は7月2日、国内初の気候法を可決し、カーボンプライシングと排出量取引制度(ETS)を含む法的枠組みを整備した。国際環境法律団体ClientEarthは「不十分ながらも重要な一歩」と評価し、同国がパリ協定の実施へ向けた法的基盤を築いたと指摘した。一方で、中期的な科学的削減目標や化石燃料の段階的廃止への言及がなく、市民参加の保証も欠くなど課題が残る。
新法は2053年のネットゼロ目標に向けて公共機関に削減・適応・公正な移行を義務付け、気候正義や生物多様性保護への言及を盛り込んだ。新設されるETSは2026年に施行予定で、特定企業に排出上限を課し、排出権取引を可能とする。
政府は今後、地域気候計画、ETSの運用、セクター別目標、補助金制度の再設計を進める必要があり、エネルギー、農業、都市計画、水資源管理など既存法制度との整合を取り、国際人権基準およびパリ協定と整合させることが求められる。
新法は炭素市場の基盤を築く一方で、CDR(炭素除去)や高品質カーボンクレジット活用の議論はまだ具体化していない。
トルコの排出量取引制度の詳細ルールは2025年末までに策定される見込みであり、来年のETS施行に向けた具体的運用ルールとCDR関連市場設計が焦点となる。