「CO2除去は脱炭素の鍵」 Gold Standardが新たな認証基準を公開、プロジェクト開発を後押し

村山 大翔

村山 大翔

「「CO2除去は脱炭素の鍵」 Gold Standardが新たな認証基準を公開、プロジェクト開発を後押し」のアイキャッチ画像

カーボンクレジット認証団体Gold Standardは7月22日、技術を使ってCO2を除去するプロジェクト向けに、新しい認証基準「Engineered Removals Activity Requirements(エンジニアード除去活動要件)」を発表した。これは、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)で20年以上の経験を持つ同団体が、今後の脱炭素技術の普及と信頼性の確保を目的に策定したもの。新たな方法論の開発も促す構えだ。

Gold Standardが発表した新基準は、コンクリートへの炭素固定やバイオマスからのCO2回収など、技術ベースの炭素除去(CDR)プロジェクトに必要な条件を明確に示している。プロジェクトの途中で炭素が大気に戻ってしまうリスクへの対策や、持続可能性を守るためのルールも盛り込まれている。

この基準は、EUの炭素除去認証制度や、航空業界のCORSIA、パリ協定に基づく国際ルールなどと整合性を持たせて設計されている。

Gold Standardの方法論開発責任者、フィオナ・ペレーラ氏は「企業のネットゼロ達成には、排出削減とあわせて、信頼できる炭素除去が不可欠。私たちはSBTi(科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ)の次期基準にも関わっており、透明性ある基準づくりを進めている」と話す。

また、CEOのマーガレット・キム氏は「私たちは長年、生物由来の炭素除去を認証してきた。今後は技術を使ったCDRでも、同じように厳格で協調的な方法をとっていく」と述べ、開発者に新基準の活用を呼びかけた。

Gold Standardは、ノイスタルク社と共同で2022年に「コンクリート骨材の炭酸化」方法論を発表し、2024年4月には初のクレジット発行に成功している。また、以下の2つの技術も2025年6月に改訂され、すぐに利用可能となっている。

これらの方法論は現在、ボランタリーカーボンクレジット市場の国際基準に適合しているかどうかの審査を受けている。さらに、バイオ炭を使ったCDRにも対応する新しい方法論が開発中で、家庭規模から大規模工場まで幅広く対象とする見込みだ。

Gold Standardでは、すべてのCDRプロジェクトに対し「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち最低3つへの貢献を求めている。さらに、地域社会への経済的・社会的・環境的利益を保証する「公正で持続可能な移行」枠組みも準備中だ。

参考:https://www.goldstandard.org/news/gold-standard-publishes-engineered-removals-activity-requirements