「バイオ炭で炭素除去を実現」 FLSとHaiQiがパラグアイでCDR事業に着手

村山 大翔

村山 大翔

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森林資源とCO2削減に取り組むフォレストリー・リンクド・セキュリティーズ(Forestry Linked Securities)は、環境技術メーカーのハイチー・グループ(HaiQi Group)と提携し、パラグアイでバイオマス由来の炭素除去(CDR)プロジェクトを開始する。第1弾として、森林残渣からバイオ炭を製造し、長期的な炭素貯留と再生可能エネルギーの供給を同時に実現する事業が始まった。

フォレストリー・リンクド・セキュリティーズとハイチーは、パラグアイ国内で複数のバイオ炭、バイオコークス、活性炭の製造プロジェクトを共同で展開することで合意した。フォレストリー・リンクド・セキュリティーズが事業全体の企画と運営を担い、ハイチーはバイオマスの熱分解に使う装置を提供し、その保守・運用も担当する。

最初のプロジェクトでは、森林伐採の副産物である木材の残りかす(森林残渣)を原料に、ハイチーの技術を使ってバイオ炭を製造する。バイオ炭は炭素を数百年単位で土壌に固定でき、さらに土壌の質を改善する効果もある。加えて、製造工程で発生するガスを使って再生可能エネルギーを発電し、パラグアイの電力網に供給する。

フォレストリー・リンクド・セキュリティーズのマネージング・パートナーであるアレッサンドロ・マテルニ氏は、「この事業は、森林産業への新たな販路確保、CO2の長期除去、再生エネルギーの供給、地域雇用の創出という、パラグアイにとって重要な4つの課題を同時に解決できる」と語った。

ハイチーのスティーブン・スーCEOも「信頼できて大規模に展開できる脱炭素ソリューションとして、世界的に需要が高まっている。私たちは、バイオ炭と再エネの両方でパラグアイの発展に貢献する」と述べた。

両社は、これらのプロジェクトを通じて企業向けの炭素除去クレジットも発行する予定で、カーボンクレジットの質と信頼性を高めるため、初期段階から厳格な基準を設けて運用するとしている。

フォレストリー・リンクド・セキュリティーズのアナリティクス部門責任者ジョバンニ・マラストニ氏は「安価な装置で始めたバイオ炭プロジェクトはうまくいかないことが多い。ハイチーの装置は世界中で比較検証した結果、最も信頼性が高かった」と説明した。

2社は、今回の協定期間中、パラグアイ国内では相互に独占的に連携して事業を進める方針である。

参考:https://www.forestry.earth/news/fls-group-and-haiqi-group-partner-to-pioneer-institutional-grade-decarbonization-projects