海洋を活用した炭素除去(mCDR)の国際連合「海洋炭素除去連合(mCDR Coalition)」が8月21日、正式に発足した。炭素ビジネス協議会(CO2BC)と世界海洋会議(WOC)が共同議長を務め、企業、非営利団体、学術機関を横断的に結集する初の公式プラットフォームとなる。
本連合は、過去2年間にわたり業界関係者が実施してきたネットワーキングや知見共有を基盤に設立された。参加企業にはキャプチュラ(Captura)、キャプチャー6(Capture6)、プラネタリー(Planetary)、シーオーツー(SeaO2)、ピューロ・アース(Puro.earth)などが名を連ね、初期オブザーバーにはカーボン180(Carbon180)やオーシャン・ビジョンズ(Ocean Visions)も加わる。目的は、科学的根拠に基づく政策提言や国際的な連携を推進し、海洋炭素除去の責任ある発展を後押しすることだ。
キャプチュラの最高経営責任者(CEO)スティーブ・オールドハム氏は「mCDRは大規模かつ低コストでの炭素除去の可能性を持つが、科学的・政策的課題も多い。専用連合の設立は、mCDRが正当に注目されるための大きな一歩だ」と強調した。
キャプチャー6の副社長ジーニーン・アッシュ氏も「急速に変化する政策環境に対応し、国内外の論点を共有する場として有益だ。今後さらに連合の影響力拡大を期待している」と述べた。
また、シーオーツーの創業者ルーベン・ブランズ氏は「海洋炭素除去の手法は多様だが、共通の課題も存在する。連合は知見を集約し、協働的に取り組む場を提供している」と語った。
CO2BCの事務局長ベン・ルービン氏は「海洋炭素除去は気候変動と海洋生態系にすでに影響を及ぼす炭素に対処する重要な機会を提供する」とし、「革新、科学、政策を結び付け、透明性と環境的整合性を基盤に成長を促す」と説明した。
WOCのマリンCDR顧問ジル・ストーリー氏は「地球表面の71%を覆う海洋こそが気候目標達成に必要な規模と潜在力を持つ。ネットゼロは炭素除去なしには不可能であり、mCDRの国際的認知向上が不可欠だ」と指摘した。
今回の設立は、CO2BCが推進する「炭素除去パスウェイ別支援」構想の一環であり、各技術分野での協調を深めるとともに、全体の炭素除去産業の拡大を目指す。今後は欧州連合(EU)が進める「海洋炭素除去評価プロジェクト(SEAO2-CDR)」とも連携し、国際的な認知度と参加を広げる方針だ。