ラオス政府が「カーボンクレジット政令」を全国布告 民間投資を呼び込む法的枠組みを構築

村山 大翔

村山 大翔

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2026年1月29日、ラオス政府は首都ビエンチャンで、炭素市場への民間参入を促進するための法的枠組み「カーボンクレジット政令」を全国に周知するワークショップを開催した。

ソーンサイ・シパンドン首相の署名によって成立した本政令は、カーボンクレジット活動に関する透明性の高い規制ルールを定めるものである。これによりラオスは、法的確実性を求める国内外の投資家や開発者を惹きつけ、高品質なカーボンクレジット創出の拠点となることを目指す。

農林環境省(MAE)が主導した本ワークショップには、関連省庁や開発パートナー、民間企業が集結した。新たな規制の下でカーボンクレジットプロジェクトを推進する開発者は、MAEへの登録前に、各事業を所管する関係省庁からプロジェクトの承認を得ることが義務付けられる。この制度的枠組みにより、省庁間の連携を強化し、環境面での完全性を担保することで、国際的な購入者が求める「リアルかつ検証可能」な排出削減を確実にする狙いがある。

本政令はプロジェクト開発のみならず、コンサルティングや市場促進サービスを含む関連ビジネス全般を規制の対象としている。明確なルールと監督メカニズムを設けることで、不正行為を防止し、民間企業にとって予測可能な事業環境を整備する。ラオスの豊富な森林資源や再生可能エネルギー、土地利用セクターは、自然由来の解決策(NbS)や低炭素投資において極めて高い潜在力を有している。

農林環境省のサイナコーン・インサヴォン次官は「本政令は、グリーンで持続可能な発展の方向性に合わせ、ラオスにおける炭素市場の効率的かつ透明性の高い発展を促進するために設計された法的手段である。資金調達の活性化や雇用の創出、地域社会への直接的な利益をもたらすことが期待される」と述べた。

在ラオス・オーストラリア大使館のベニータ・サマービル次席公使は、本ワークショップが炭素市場ガバナンスの政策から実行への転換点であると指摘した。サマービル氏は「気候変動対策のための投資動員において、民間セクターが果たすべき役割は大きい。ラオスが国際的な高インテグリティ(高い誠実性)の炭素市場へ関与していくことを期待している」と強調した。

グローバル・グリーン成長研究所(GGGI)のラオス代表であるダグマー・ツヴェーベ氏は、政令の採択を炭素市場参入に向けた重要なマイルストーンであると評価した。ツヴェーベ氏は「採択は長い道のりの始まりに過ぎず、今後はステークホルダー間の緊密な連携による効果的な実施が求められる。信頼性の高いエコシステムを構築することで、ラオスの経済成長に向けた持続可能な気候資金を確保できる」との見解を示した。

今回のラオスによる政令公布は、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国がパリ協定第6条に基づく国際的な炭素市場への対応を急ぐ中での重要な一手である。

これまでラオスにおける炭素クレジットは政府主導の側面が強かったが、今後は民間資金を活用したプロジェクトが加速するだろう。

特に、森林保全ノウハウを持つ日本企業にとっては、二国間クレジット制度(JCM)以外の選択肢として、ラオスの高品質なカーボンクレジットへの投資や開発に参画する大きなチャンスとなる。

今後は、具体的なプロジェクト承認プロセスの運用開始時期が次の注目点となる。

参考:https://gggi.org/lao-pdr-opens-new-opportunities-for-private-sector-investment-through-disseminating-the-carbon-credit-decree/