フィンランドのヘルシンキに拠点を置く炭素除去(CDR)クレジット登録機関のプロ・アース(Puro.earth)は2026年1月27日、検証済みの炭素除去量を迅速に市場へ供給するためのプレミアムサービス「プロ・イシュアンス・プラス(Puro Issuance Plus)」を開始した。
この新サービスは、大規模な供給事業者を対象に二酸化炭素除去証明書(CORC)の発行サイクルを短縮し、クレジットの流動性と収益化のスピードを向上させることを目的としている。産業規模のCDRプロジェクトにおいて、除去の検証からクレジット発行までのタイムラグを減らすことで、事業者のキャッシュフロー予測の精度を高める狙いがある。
プロ・イシュアンス・プラスは、同社が展開するデジタル基盤「マイ・プロ 2.0(MyPuro 2.0)」および、デジタル測定・報告・検証(dMRV)を可能にするアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)である「プロ・ディーエムアールブイ・コネクト(Puro dMRV Connect)」を活用して実現した。
これにより、データの提出から監査準備までのプロセスが簡素化され、サプライヤーが必要なタイミングでバッチ単位の発行をリクエストできる体制が整った。なお、本サービスを利用する場合でも、第三者機関による厳格な検証プロセスや品質管理基準に変更はなく、クレジットの適格性は維持される。
プロ・アースのヤン・ウィレム・ボーデ社長は「成熟しつつある市場において、予測可能性とタイミングは供給量と同じくらい重要である」と述べた。同氏は、この新サービスが成熟したサプライヤーの実務に即したものであり、生産から収益化までの経路を短縮できると指摘した。
本サービスの利用には特定の適格基準が設けられており、1回の監査につき最低1,000 CORC(1,000トン相当の炭素除去)を発行する産業規模の生産能力を持つことや、継続的な監査パフォーマンスが良好であることが求められる。これは、流動性の最適化を目指す企業や、将来的なリアルタイム発行モデルへの移行を視野に入れる企業にとって特に有効な選択肢となる。
今回のデジタル化の進展により、サプライヤーは市場価格の変動に合わせた柔軟な販売戦略を立てることが可能になる。
今後は、デジタル技術をさらに活用した「オンデマンド発行」の実現が、CDR業界全体のスケールアップにおける鍵となる見通しだ。
今回の発表は、単なる「手続きのスピードアップ」ではなく、CDR市場が「プロジェクトベース」から「産業ベース」へと移行し始めた象徴的な動きといえる。
これまでのカーボンクレジット発行は、数ヶ月から年単位の監査を待つのが常識であり、スタートアップの多いCDR事業者にとって資金繰りの大きな壁となっていた。
プロ・アースがdMRV(デジタルMRV)と連動した頻回発行に踏み切ったことで、今後は「炭素を除去した分だけ即座に現金化できる」という、よりコモディティに近い取引環境が整備されていくだろう。
日本企業にとっても、大規模なCDR投資を行う際の投資回収(ROI)予測が立てやすくなるという点で、ポジティブな影響が期待される。
参考:https://puro.earth/our-blog/361-puro-earth-launches-puro-issuance-plus-to-enable-higher-frequency-of-carbon-credit-issuance-for-suppliers


