ドイツ・ベルリンに拠点を置くスタートアップのカーボンサテ(Carbonsate)は1月19日、ナミビアで展開するバイオマス貯留プロジェクトから初となる799トンの炭素除去(CDR)クレジットを発行した。
同プロジェクトはフィンランドの認証機関プーロ・アース(Puro.earth)のバイオマスの陸上貯留(Terrestrial Storage of Biomass)手法に基づいて認定されたもので、侵入低木の除去を通じて大気中の二酸化炭素(CO2)を100年以上にわたり隔離する。今回発行されたCDRクレジットは、高品質なCDRを求める購入者にすでに全量が完売している。
今回のカーボンクレジット発行は、カーボンサテの施設がプーロ・アースの登記簿において100番目の認定施設となってから数週間後に行われた。ナミビアのオティワロンゴ・プロジェクトと呼ばれるこの事業は、同国の土地面積の約30%に影響を及ぼしている低木の過密化(低木侵入)問題に対処するものだ。この現象は現地の生物多様性や地下水の涵養、農業生産性に悪影響を与えており、同社は過剰な低木を選択的に伐採することで土地の修復を図っている。
収穫されたバイオマスは、酸素を遮断した独自の環境下で保管される。
これにより微生物による分解を防ぎ、バイオマスに含まれる炭素が100年以上にわたって大気から隔離される仕組みだ。プロジェクトの性能を維持するため、同社はセンサー技術を導入し、CO2、メタン、酸素、温度、湿度を継続的に監視することで、システムの長期的な安定性を確保している。
同プロジェクトのフェーズ1における炭素貯留能力は800トンと推定されているが、将来的には10万トンを超える規模への拡大が見込まれている。カーボンサテは2033年までに年間1,000万トン以上のCO2を除去することを目標に掲げており、現在はナミビアのほか、カメルーン、コロンビア、ブルガリアでもバイオマス関連プロジェクトを展開中である。
同社は「今回の発行は始まりに過ぎない。次期フェーズはすでに進行中であり、本プロジェクトで得た運用的・技術的な知見を活かし、より大規模かつ迅速な提供を目指す」と声明で述べた。発行されたクレジットの買い手について具体的な企業名は明かされていないが、環境整合性の高いCDRへのコミットメントを持つ顧客であるとしている。
本プロジェクトの成功には、現地のパートナーや農家との緊密な協力が不可欠であった。同社はナミビアのパートナーであるカイ・ウヴェ・ショネッケ氏(Kai-Uwe Schonecke)や現地の農業コミュニティへの謝辞を表明し、地域に根ざした持続可能な炭素除去の重要性を強調した。今後は技術的な最適化を進め、第2フェーズの運用を加速させる方針だ。
今回のニュースは、CDR市場において「バイオマス埋設」という手法が、信頼性の高い気候変動対策として実用化フェーズに入ったことを象徴している。
従来、バイオマスを用いた炭素固定ではバイオ炭が先行していたが、よりシンプルに未利用バイオマスを嫌気保管する本手法は、コスト競争力と拡張性の両面で注目されている。
特にナミビアのような「環境被害をもたらす侵入植物」を資源に変えるモデルは、現地の生態系回復とカーボンクレジット創出を両立させる「ネイチャー・ポジティブ」なアプローチとして、日本企業が今後海外でCDRプロジェクトを展開・投資する際の重要な先行事例となるだろう。


