森林バイオマス評価の精度向上へ BeZeroとChlorisが「相互データ共有」で戦略的提携

村山 大翔

村山 大翔

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世界のカーボンクレジット市場で独立系格付け機関として影響力を持つビーゼロ・カーボン(BeZero Carbon)は2025年12月9日、衛星データを活用した森林バイオマス計測技術を持つクロリス・ジオスペーシャル(Chloris Geospatial)との戦略的提携を発表した。ビーゼロが保有するプロジェクト現場の地上実測データと、クロリスの高度な衛星解析データを相互に活用することで、森林由来のボランタリーカーボンクレジットにおける信頼性と評価精度を飛躍的に高める狙いがある。

今回の提携の核心は、宇宙からの「広域データ」と、地上での「詳細データ」の相互補完にある。

合意に基づき、ビーゼロ・カーボン(BeZero Carbon)は、クロリス・ジオスペーシャル(Chloris Geospatial)が有する最先端の森林バイオマス・データセットへのアクセス権を取得する。これにより、世界中の森林プロジェクトにおける炭素貯留量の推定精度が向上し、同社の格付け分析がより強固なものとなる。

一方、クロリス側は、ビーゼロが蓄積してきた広範な「地上実測データ(グラウンドトゥルース)」へのアクセスが可能となる。クロリスは航空機搭載レーザー(LiDAR)などをモデル検証に用いているが、ビーゼロの現場データを組み合わせることで、衛星解析アルゴリズムの検証と改善をさらに進めることができる。

ビーゼロは、地球観測エコシステム全体から最適なデータを統合する「マルチソース地理空間戦略」を推進しており、今回の提携もその一環である。同社はすでに100以上の地理空間データセットを活用してプロジェクト分析を行っており、2023年には地球観測衛星運用大手であるプラネット・ラボ(Planet Labs)との提携も発表している。クロリスのバイオマスデータが加わることで、同社の地理空間分析能力はさらに深化したことになる。

また、ビーゼロは今年初め、自然由来の炭素プロジェクトの境界線を網羅した世界初のデータセットを発表しており、今回の提携と合わせて、市場の透明性向上に向けたリーダーシップを強化する姿勢を鮮明にしている。

両社の代表者は、今回の提携について以下のように述べている。

ビーゼロ・カーボン(BeZero Carbon)の地理空間・地球観測担当副社長であるフィル・プラッツ博士は、「クロリスのチームは、バイオマスマッピング技術のパイオニアとして数十年の経験を持つ。彼らのデータを当社のシステムに統合することで、独立したプロジェクト格付けとリスク評価はさらに強化されるだろう」と述べた。

クロリス・ジオスペーシャル(Chloris Geospatial)の共同創設者兼チーフサイエンスオフィサーであるアレッサンドロ・バッチーニ博士は、「ビーゼロの世界的な市場影響力と深い分析能力、そして広範な地上実測データは、理想的なパートナーの条件を満たしている。共に、気候変動対策を加速させる組織や市場のために、透明で拡張性のある森林炭素測定を推進できることを誇りに思う」とコメントした。

参考:https://bezerocarbon.com/insights/bezero-carbon-partners-with-chloris-geospatial-to-strengthen-global-forest-carbon-measurement