NTT東日本宮城事業部を含む産学官の6者は、秋田県男鹿市の海洋エリアにおけるブルーカーボン実証プロジェクトの推進に関する協定を締結した。同プロジェクトは、食用海藻であるワカメとアカモクの増養殖を通じて二酸化炭素(CO2)吸収量を最大化し、「Jブルークレジット制度」による認証取得を目指すものだ。これにより、地域水産業の振興と脱炭素社会の実現という二重の価値創出を図る。
協定には、NTT東日本のほか、男鹿市、秋田県、公立大学法人秋田県立大学(秋田県立大学)、秋田県漁業協同組合、株式会社男鹿なまはげ魚工房が参画する。この連携は、男鹿市沿岸域の戸賀湾にある養殖場を活用し、ワカメ養殖の規模拡大とアカモク漁場の造成を推進することを目的とする。海藻によるCO2吸収量を定量的に把握し、それをカーボンクレジットとして認証する「Jブルークレジット制度」の活用により、地域資源に環境価値を付与する。
この取り組みの核心は、情報通信技術(ICT)の応用によるCO2吸収量の可視化と信用度の確保にある。NTT東日本は、ドローンおよび人工知能(AI)技術を活用し、ワカメやアカモクの藻場面積や種類を分析し、正確なCO2吸収量を把握する役割を担う。このデータに基づき、男鹿市が中心となり「Jブルークレジット制度(JBC)」の認証取得を進める。
ワカメやアカモクの増殖活動は、秋田県漁業協同組合とその組合員が、種付け、生育状況の確認、収穫、計量などを担い、新たな収益源の確保を目指す。秋田県と秋田県立大学は、増養殖の技術指導や生育調査、海洋データ収集・分析といった技術支援を行う。一方、男鹿なまはげ魚工房は、JBC認証取得後のワカメなどのテストマーケティングを担当し、地域ブランド価値の向上と販路拡大を検証する。
この実証プロジェクトは、地球温暖化対策に貢献すると同時に、男鹿産の海藻ブランド価値向上と漁業資源の回復、地域経済の活性化が期待される。協定式は2025年11月18日、NTT東日本秋田支店内の「Connect Labo OMOCE(おもしぇ)」にて開催された。今後は、JBC認証取得ノウハウの習得と認証後のブランド化検証が焦点となり、その進捗が次期ステップを左右する。
参考:https://www.ntt-east.co.jp/miyagi/information/detail/pdf/20251118_01.pdf
