米農業大手アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は、炭素除去(CDR)プロジェクト開発を手がけるスーパー6カーボン(Super6 Carobn)と、イリノイ州デケーターの炭素回収・貯留(CCS)拠点を活用してCDRクレジットを生成・商用化する覚書(MOU)を締結した。非拘束的な同合意に基づき、スーパー6は捕捉したCO2をADMの地下貯留施設に供給し、恒久的な地中貯留を通じて高品質なCDRクレジットを発行する。
ADMは同拠点で、マウント・サイモン砂岩層にCO2を1マイル(約1.6キロ)超地下に圧入しており、累計で約450万トンのCO2を安全に貯留してきた。CCS事業を担うマット・カルーペク副社長は「デケーターはCCSに最適な地質条件を備えている。この提携は、当社がこの技術を活用して新たな価値を創出する好例だ」と述べた。
スーパー6カーボンのロバート・アロウェイ社長は「ADMは北米でも数少ない商業的CCS施設を運営する実績あるリーダーだ。既存インフラを活用することで、産業規模で商業的に成立するCDRプロジェクトを短期的に実現できる」と語った。契約確定後、ADMはスーパー6の少数株を取得する予定である。
今回の提携は、ADMがバイオエタノール事業を超えてカーボンマネジメント分野を拡大し、成長著しいCDRクレジット市場での地位を強化する動きを示すものだ。同社はすでに米グーグル(Google)が支援する400メガワット規模の発電所「ブロードウィング・エナジー」計画にも関与しており、2030年代初頭に約90%のCO2を回収・貯留することを目指している。
CDRクレジット市場では、企業が実効性あるネットゼロ手段を求める動きが強まっており、今回の提携はその潮流を象徴する。プロジェクトの実行力と検証体制が今後の信頼性を左右するとみられる。
参考:https://www.adm.com/en-us/news/news-releases/2025/10/adm-super6-carbon-announce-plans-to-produce-cdr-credits-in-decatur/