米電力大手コンステレーション(Constellation)と環境コモディティ取引基盤のエクスパンシブ(Xpansiv)は10月29日、クリーンエネルギー発電に基づく新たな排出ゼロ電力証書(Emission-Free Energy Certificate、EFEC)を、オンライン取引所「CBLスポット取引所」で12月2日から取引開始すると発表した。両社は将来的に「時間単位EFEC」も追加する方針で、再エネ証書市場における新しい商品として注目される。
米国ボルチモアおよびニューヨークを拠点とするコンステレーションは、原子力、水力、風力、太陽光を組み合わせた電源構成により、発電量の約9割を排出ゼロ電力で賄う。同社が発行するEFECは、北米の電力市場「PJM地域」にある自社のクリーンエネルギーセンター由来とされ、企業や自治体の脱炭素調達に新たな選択肢を提供する。
一方エクスパンシブは、再生可能エネルギー証書(REC)を管理する「北米再生可能エネルギー登録機関(North American Renewables Registry、NAR)」を通じて、原子力発電を基盤とした排出ゼロ証書(ZEC)も発行する。NARは米国、カナダ、メキシコにおける計8,900万kW(89GW)超の再エネ設備を登録しており、発行から償却までのライフサイクル追跡を可能にする。
コンステレーションの最高商務責任者ジム・マクヒュー氏は「信頼性が高くクリーンな1メガワットこそ最も重要なエネルギー商品だ。当社は全米最大規模の排出ゼロ電源を有しており、顧客の環境目標達成を支援する」と述べた。
エクスパンシブの最高経営責任者ジョン・メルビー氏は「追加的なカーボンフリー電源の必要性は急速に高まっている。今回の証書取引の立ち上げは、環境コモディティ市場における当社の包括的インフラの力を示すものだ」と強調した。
同社によれば、今回のEFEC取引開始は、民間・公共部門の双方で高まる排出ゼロ電力需要に応えるものだ。特にAI処理や電気自動車(EV)充電需要の急増を背景に、データセンター電力消費は2030年までに160%増加する見通しであり、排出ゼロ電源の確保は喫緊の課題となっている。
今回のEFEC市場の創設は、排出ゼロ電力の「証書化・可視化」を通じて、炭素除去(CDR)およびScope2排出削減の新たなトラッキング手段を提供する点で、企業の脱炭素経営に直接的な影響を及ぼす可能性がある。
 
							 
			 
		 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				